韓国・尹錫悦政権が模索する徴用工問題の出口 尹大統領の就任早々の不人気は不安材料だが
特に人事は大統領府の秘書官らに検察官や元検事を多数起用し、「ソ・オ・ナム」(ソウル大学出身の50代の男性という意味)と揶揄されている。権力中枢が同質性の高いエリートだけで構成される政権は、必然的に国民との距離ができてしまう恐れがある。
つまり発足間もない尹政権は安定的なハネムーン期間もないまま、政権基盤が不安定な状況に陥っているのだ。しかし、韓国は日本以上に政権の支持率の浮き沈みが激しく、尹政権がこのまま低迷を続けるとはかぎらない。
日本政府もできる範囲で積極的に動くべき
徴用工問題の全面的解決には、韓国政府と被害者やその支援団体などが解決案に合意すること、日韓両国政府さらには日本企業も合意すること、さらには必要に応じて韓国議会で予算などの手続きが進められることなど、この先乗り越えなければならないハードルが多い。
日本政府は、表向き徴用工問題は韓国側が一方的に起こした問題であるから、韓国側の出方を見守るという姿勢で一貫している。日本側から提案はしないというのだ。しかし、韓国政府が問題解決に積極的に取り組み始めたことは評価すべきであるし、問題解決が日本の国益に沿うものであるとともに地域の安定にも寄与することは言うまでもない。韓国側の前向きな対応を好機ととらえ、日本政府も可能な範囲で積極的に動くべきときであろう。
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