アプリが自動支払い、イタリア「運賃精算」新時代 日立開発、センサーで経路を記録し最安を算出
赤い小さなケーブルカーに揺られて約3分、頂上にある終点のベルターニ駅に到着。ジェノヴァ市の地下鉄、バス、ケーブルカーなどの公共交通機関は乗車券が共通で、100分間乗り降り自由で1.50ユーロだ。アプリにも、そのチケット1回分の1.50ユーロが課金される。
今度は下へ降りるためのエレベーター乗り場に到着。これも利用に乗車券が必要な公共交通機関で、「垂直方向へ動くケーブルカー」と考えれば納得できるだろう。この乗り場にもビーコンが設置されており、エレベーターへ乗り込むと乗車記録が書き加えられる。ただ、先ほどのケーブルカー乗車から100分経過していないため、ここで再度課金されることはない。課金するかどうかは利用者の行動記録と照らし合わせてシステム側が判断するわけだ。
下山した後、今度は路線バスに乗車してピアッツァ・プリンチペ鉄道駅へ向かった。ジェノヴァはヨーロッパでは一般的な「セルフ改札」となっているため、通常はバスに乗車した後、チケットを刻印機へ差し込んで乗車時間を印字しなければ罰金を取られるが、アプリの場合は何もする必要はない。
自転車で並走しても課金されない?
ここで1つの疑問が湧く。例えばアプリ利用者が自転車でバスと並んで走っていたら、勝手に課金されるのではないだろうか。
この点について小岩氏は「それは開発中も懸念がありましたが、ビーコンに使用するBluetooth Low Energy(以下BLE)のパワー(通信出力)を絞り、通信できる距離を制限することで解決しました」と説明する。
駅に到着後、町の中心まで今度は地下鉄に乗車した。改札からホームまで頭上を注意深く観察してみると、改札、エスカレーター(エレベーター)、ホームと、乗客の動線に合わせてビーコンが設置されているのが確認できた。小岩氏は「車両1両につきバスで2つ、地下鉄で3つ。それだけで車両全体の利用者数をチェックできます」という。
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