性的暴行や近親相姦は?米「中絶禁止法」の盲点 アメリカ共和党を困らせる「パンドラの箱」

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最近では、オハイオ州に住む10歳の少女がレイプ被害で妊娠するも、オハイオ州が中絶を新たに禁止したため中絶手術のためにインディアナ州に行くことになったというニュースが注目され、例外規定をめぐる議論の重みが鮮明となった。

共和党が優勢な州の多くの指導者は、機が熟すのを待っているように見える。例外はウェストバージニア州で、1849年に制定された中絶禁止令の施行が裁判所に差し止められると、同州議会は中絶をほぼ全面的に禁止する法案を可決した。

当初の強硬路線は腰砕け

しかし、今年に入ってトリガー法の可決に僅差で失敗したネブラスカ州では、知事のピート・リケッツが臨時議会の可能性を口にしたものの、同議会は今もって召集されていない。フロリダ州知事のロン・デサンティスは、新たな中絶禁止法案の制定に直ちに踏み切るかどうかという質問から実質的に逃げている。

サウスダコタ州では、ロー判決が覆ったことに伴い中絶禁止法が発効する一方、知事のクリスティ・ノームはさらなる中絶禁止法案の検討に向けて議会を召集するという当初の公約から手を引いた。アイオワ州知事のキム・レイノルズは、裁判所に差し止められた既存の中絶禁止法の施行が可能となるよう働きかけに注力していくと発言するにとどめている。

「現時点で、特別議会を召集するメリットはない」。共和党所属のレイノルズは6月、地元の記者団に対し、そう語った。

インディアナ州では、少なくとも理屈の上では、中絶禁止法案を通過させるのは簡単なはずだった。同州の議員は近年、大規模な中絶規制を承認しているし、同州議会両院では共和党が過半数を占めている。

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