性的暴行や近親相姦は?米「中絶禁止法」の盲点 アメリカ共和党を困らせる「パンドラの箱」

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アメリカ・インディアナ州では、中絶禁止の例外をめぐる議論が白熱しており、州議会には中絶反対者と支持者が集まっている(写真:John Sommers/Bloomberg)

人工妊娠中絶に反対する人々、なかでも共和党支持者の多い保守的な州の中絶反対派は、中絶の権利を認めた「ロー対ウェイド判決」が覆されたことで、中絶を禁じる法律が次々と成立する展開を期待した。ところが、これまでのところ共和党議員の多くは、同党が圧倒的多数を占める州においてでさえ、慎重に動いているか、まったく何もしていない。

その理由を示しているのが、インディアナ州での最近の論争だ。

共和党の議員は中絶禁止の「総論」では一致しているものの、どこまで踏み込むのかという「各論」をめぐって対立している。中絶は全面禁止とするべきか? 全面禁止とするのなら、レイプや近親相姦で妊娠したケースは例外扱いとするべきか? 妊娠で母親の健康が脅かされていながらも、死亡するほどではないと医師が判断した場合はどうなるのか?

具体論を考えてこなかったツケ

「本当に難しい問題ばかりだ」。そう語るインディアナ州上院議員ロドリック・ブレイが所属する共和党は長年にわたり中絶禁止に向けて活動してきたが、禁止法案に例外規定を設けるかどうかで意見が割れている。

今年、ロー判決が覆されるまで議員らは「この問題に十分な時間を割いてこなかった。詳細に立ち入る必要がなかったためだ。ところが、事がここに至った今となっては、これは極めて困難な仕事であることがわかってきた」とブレイは言う。

同様の議論は、アメリカ各地に広がっている。

保守的な州の中には、中絶の権利が連邦レベルで認められていた数年前に、ロー判決が覆ったら自動的に中絶を禁止とするトリガー法を制定したところもあった。しかし、共和党議員が直面しているのは、もはやそうした仮定の議論ではない。彼らは例外にまつわる厄介な問題、党内の微妙な意見の相違、そして中絶が決定的な争点の1つとなった中間選挙の中で割れる世論と向き合わざるをえなくなっている。

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