性的暴行や近親相姦は?米「中絶禁止法」の盲点 アメリカ共和党を困らせる「パンドラの箱」

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知事のエリック・ホルコムは、前副大統領マイク・ペンスが同州知事時代に副知事を務めた人物で、ロー判決が覆ったその日に、新たな中絶制限を検討するよう議会に求めた。「われわれは、生命の尊厳を守る取り組みを前進させる好機を手にしている。これこそ、われわれのなすべきことだ」とホルコムは語った。

穴だらけの中絶禁止法案に「身内」も失望

しかし現実には、異論が多すぎて共和党議員は法案に合意できずにいる。当初7月上旬に設定された臨時議会は7月下旬になるまで開かれなかったし、それ以前の段階ですでに共和党議員の中からは党の方針に反発する声が上がるようになっていた。

そして、一部の共和党議員が限られた例外を除いて中絶を禁止する法案を提出すると、ほぼ全方位から失望を買った。中絶の権利を擁護するアメリカ自由人権協会(ACLU)のインディアナ州支部から「残酷で危険な法案」という批判が上がっただけでなく、中絶禁止を求めるインディアナ・ライト・トゥ・ライフ(IRTL)からも「弱くて困った法案」とこき下ろされた。

「私に言わせれば、この法案はスイスチーズと同じで穴が多すぎる」と、IRTLを代表して発言したジョディ・スミスは語った。スミスは7月下旬の議会で、上院の共和党議員数人がIRTLから支持を取り付けようとしていたとも証言した。

現時点の法案は、今後修正される可能性もあるが、妊婦の生命が危険にさらされていると認められた場合や、妊娠の早い段階でレイプや近親相姦の被害に遭ったという宣誓供述書に署名した場合を除き、中絶を禁止するものとなっている。

(執筆:Mitch Smith記者、Julie Bosman記者)
(C)2022 The New York Times

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