「ロッキー」権利持たないスタローンの不条理事情 脚本、監督手掛けた作品を取り戻す最後の戦い
そうやって行き止まりの状態が続くうちに、スタローンと『ロッキー』の人気は衰退していく。『ロッキー5』は北米3位デビューと最初からつまずき、トータルの北米興収は『ロッキー4』の3分の1にとどまった。6作目となる『ロッキー・バルボア』は、作らせてもらうのにもひと苦労だった。そうなると、権利をくれなどと強気なことを言える立場にはない。
しかし、2015年、ライアン・クーグラーのアイデアで、アポロ・クリード(カール・ウェザース)の息子を主人公にした『クリード』に助演で出演すると、スタローンと『ロッキー』にあらためて脚光が当たることになる。今作で、スタローンは『ロッキー』1作目以来、初めてアカデミー賞にノミネートされた。『ロッキー』で始まった彼のジャーニーは、一周してまたここに戻ってきたのだ。
「負け試合」に勝利できるか
ロッキーは、スタローンにとってかけがえのないキャラクター。そんなロッキーのことを、スタローンは「兄弟のような存在」という。だが、その大事なキャラクターは、彼のものではなく、ウィンクラーのものだ。その後は、ウィンクラーの子供たちのものとなる。
ウィンクラーはもう91歳で、その日はそう遠くないかもしれない。だからこそスタローンはなおさら焦りを強めているのだろう。昔から言われたように、おそらくそれは起こらないことなのか。それとも、ウィンクラーが心変わりをしてくれる可能性はあるのか。負けるに決まっている試合に勝つロッキーの姿を描いてきたスタローンは、一縷の希望を持ち続ける。
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