日経平均株価は「超重要ゾーン」を突破できるか 3万円回復には超えなくてはならない「厚い壁」

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企業業績がとくによかったわけではない。確かに好決算を発表した企業も少なくなかったが、業績見通しを引き下げたIBMやジョンソン・エンド・ジョンソンなどの代表的銘柄は売られていた。

しかるに、前日18日の好決算で買われていたゴールドマン・サックスへの買いは続き、前日好材料で買われたが引けにはマイナスとなっていたボーイングも再び買い直された。

景気指数でとくに買い材料があったのだろうか。19日発表された6月の新規住宅着工件数は年率換算で155万9000戸と、5月の154万9000戸は上回ったものの、市場予想の158万戸は下回っていた。着工許可件数も168万5000万戸と、予想の165万戸は上回ったが、5月の169万5000戸は下回っていた。こんな数字でダウ平均の754ドル高は説明できない。

売り材料をすべて織り込んでいた?

では、売り材料をすべて織り込んでいたので上がったのだろうか。これは理由の1つといえなくもない。

事実この日、6月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値が発表されたが、速報値と一致で前年比8.6%の上昇と、過去最高の上昇率が確定した。しかし市場反応としては、英国のFTSE100指数が前日比1.01%高、独DAX指数が同2.69%高、仏CAC40指数が同1.79%高だった。

予想外に早い反転に、後半相場の安値を拾おうと待ち構えていたファンドは運用計画を変更しようか迷っている。その理由は明白で、この上昇が本格的な反転かどうか信じられないからだ。

例えば、日本の新型コロナウイルスの感染拡大は未経験の領域に入り、ロシアのウクライナ侵攻は先がまったく見えないといってもいいほどだ。また、FRB(アメリカ連邦準備制度理事会)の利上げは先が見えてきたとはいえ、利上げは今週の27日、9月21日、11月2日と続き、場合によっては12月14日もありうる。

しかも、長期にわたるFRBの資産縮小戦略は6月に始まったばかりだ。相場はそれらを織り込んだからこそ2万7049円を超えたと見ることもできるが、極寒の中で春を待つような難しさもある。投資家は一定期間は耐えられたとしても、ふと厳しい現実に気づいたとき、恐ろしいほどの不安になるからだ。

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