安倍首相の「本気」に屈した「農協」 農民から離れた全中の敗北は必然だった
また、農協の理事の過半数は認定農業者や農作物販売・経営のプロとすることにし、これまでの機能を大きく改善する方針だ。
さらに、連合会や農協は、所属する単位農協や組合員に対して事業利用を強制してはならないことを明記するとともに、連合会や農協は、単位農協や組合員が自主的に設立し運営する組織であることを徹底する規定を整備することにした。
農協は、地域農協、県中央会(県中)、全国中央会(全中)という長年のピラミッド組織の関係で、そこから自律性、自主性は生まれず、農協本来の出資者たる組合員の利益につながらない構図ができていた。
EU(欧州連合)では、1993年に大農政改革を行い、穀物の支持価格を約3割引き下げる一方、財政による直接支払いで農家所得を補償するという政策に転換した。これによりEU産穀物の国際競争力は飛躍的に増すという成果を遂げた。これができたのも、EUには日本の農協のような組織がなかったからだ。
今回の農協改革によって、全中のタガが外れたことで、全国一律ではなく各地の農協が独自に知恵を絞って農家を手助けしていけば、組合員の収入が増やせるような仕組みができたことになる。「農協解体」には至らなかったが、地域農協には真に農業者の役に立つような組織として、農業再生を期待したい。
今回、安倍首相が関与した農協改革では、自民党の強力な支持団体にメスを入れることになったが、官邸=自民党=農協が大筋で合意した段階に過ぎないともいえる。果たして、農協改革は本当に成功するのだろうか。これは第2弾で詳しく分析する(第2弾「安倍首相の農協改革を過小評価するな」は、こちら)。
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