ESG投資に対する疑念が根強い。経済的な利益を軽視した投資スタイルではないのか、金融市場の中だけで流行しているのではないか、という点だ。これら2点がはっきりすれば、ESG投資の拡大が一時の流行か、長期トレンドかを判断できそうだ。
ESG投資は膨張の一途をたどる。サステナブル投資残高は日本でも米国でも右肩上がりで増えている。欧州では減っているが、これはサステナブル投資の定義を厳格化した影響が大きい。
リーマンショックが第1のトリガー
ESG投資が台頭してきたのは2000年代初頭。10年代には爆発的に増えた。米資産運用大手インベスコの日本法人でESG事業を担当する内誠一郎・投資戦略部部長は「08年のリーマンショックが第1のトリガー(引き金)になった」と指摘する。
経営破綻した米リーマン・ブラザーズに限らず、当時は株主も企業経営者も次の四半期の利益をどう極大化するかを重視する風潮が強かった。それが過大なリスクを取って短期的な利益を追求する無理な経営につながった。
一方、公的年金基金など長期投資家には、短期的な利益よりも、長期的かつ持続的に企業が成長するほうが好ましい。「ESG投資は短期主義へのアンチテーゼの側面を持っている」と内氏は指摘する。
SNSの発達もESG投資を強力に後押ししている。不祥事があればグローバル規模で瞬時に情報が伝わる。内氏は「ESGは、株主に指図されて企業がお行儀のいい経営を目指すものではなく、社会全体の要請だ」と話す。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録いただくと、有料会員限定記事を含むすべての記事と、『週刊東洋経済』電子版をお読みいただけます。
- 有料会員限定記事を含むすべての記事が読める
- 『週刊東洋経済』電子版の最新号とバックナンバーが読み放題
- 有料会員限定メールマガジンをお届け
- 各種イベント・セミナーご優待