一方、2000年代に入ると、クラウンの販売は右肩下がりになった。そこで2003年の12代目で、「ゼロクラウン」と銘打ち、プラットフォーム、サスペンション、エンジンなど主要部品が刷新された。例えばガソリンエンジンは、それまでの直列6気筒からV型6気筒へ変更されている。
14代目からは、ドイツのアウディが採用しはじめた大型ラジエターグリルをクラウンも用いるようになり、「ロイヤル」と「アスリート」で別の意匠とするなど、持ち味の幅を広げた。加えて、走行性能で欧州車と肩を並べるようにと、ドイツのニュルブルクリンクでの開発を採り入れるなどした。そして前型の15代目へ至る。
豊田章男社長は、「トヨタのすべての挑戦は、クラウンからはじまってきた」という。そして、新型クラウンの開発に際し、「固定概念にとらわれず、お客様を笑顔に」との視点で取り組むよう、中嶋ミッドサイズカンパニー社長に伝え、まさしく従来と違った新型クラウンの誕生となった。
クロスオーバー、セダン、スポーツ、エステートの4車種
そんな16代目となる新型で象徴的なのが、同じクラウンという車名のもと、4つの車種があり、しかも第1弾は4ドアセダンではなくクロスオーバーで世に問う。なおかつ、これまでクラウンは国内を主力としたのをグローバルカーに位置づけた。
豊田社長は、「初代から15代目までを徳川幕府の歴代将軍にたとえれば、新型クラウンは明治維新になる。新時代のクラウンの誕生」と評した。
新型クラウンのクロスオーバーを前に、豊田社長は対面してまず「面白いね」と感じ、試乗して「これクラウンだね」と思ったと話す。4ドアセダンからクロスオーバーへの革新に、乗ると感じられる伝統のクラウンの感触があったということだろう。そのうえで、4ドアセダンをなくすことは一度も考えなかったとも語る。
ロングセラーとは、自ら変わっていくことであり、それがクロスオーバーという価値を生み出した。同時にまた、クラウンらしさという型があるとも豊田社長はいい、その原点は、初代主査の中村健也であり、主査制度がそれを継承させた。どのような姿であっても、クラウンはクラウンであり、らしさを携えながらトヨタ車を牽引していく存在であることに変わりはないようだ。クラウンのすごさとは、まさにそれだろう。
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