世界5指のヘルスケア企業を目指す--大塚ホールディングス社長 樋口達夫
かつて、創業2代目の大塚正士(まさひと)・大塚製薬元会長は「うるさい株主がいると冒険ができない」と語り、株式上場に否定的だったといいます。今回、あえて上場に踏み切った理由は。
正士氏も、創業者である父親・武三郎(ぶさぶろう)氏から「箱根の山を越えてはいけない」と言われていたが、その言いつけを守らず、全国展開に踏み切った。3代目の大塚明彦・大塚ホールディングス会長も、父親(正士氏)から「海外(進出)はやめておけ」と反対されたが挑戦した。このように変化に対応するための努力があったからこそ、企業として存続できた。現状にとどまっていては未来は開けない。
上場で社外の評価が加わることにより、グループの長所をもう一度前面に出すことができる。加えて国際展開や人材採用でもメリットは大きい。このように上場を好機としてとらえ、それをテコに新たな課題に挑戦していきたい。
--どんな企業グループを目指していますか。
大塚グループの企業理念は「創造性」。ヘルスケア分野全域にわたり、独創的な新製品を送り出していくことが使命。これからは医療機器分野にも力を入れる。
--上場で「大塚らしさ」が失われるのではないかとの懸念もありますが。
変化が激しい時代にあって、私たちのコアが何であるかということを自問自答していかなければならない。「選択と集中」をめぐって行きつ戻りつしている大手企業も少なくない中で、私たちは以前から中枢神経系疾患とがん領域を最重点領域にしてきた。また、輸液では国内シェア45%を握り、海外にも早くから進出している。
ジェネリック医薬品(後発医薬品)に進出する考えはない一方、健康保持や予防医療の視点からニュートラシューティカルズ(NC)分野にも力を注いでいる。投資家の方々には、こうした長期の成長シナリオにご賛同いただけると思う。