世界5指のヘルスケア企業を目指す--大塚ホールディングス社長 樋口達夫
特許切れ後への対応は着実 NC事業の収益力強化に全力
--ただ、2015年4月に訪れるエビリファイの米国特許切れ後の成長シナリオが見えにくいという指摘もあります。
エビリファイの価値最大化については、米国で1カ月に1回の投与で済む持効性注射剤の開発を進めている。昨年、フェーズ�臨床試験(治験)での中間解析で有効性評価基準を達成したことで、11年中に承認申請を行う予定だ。また、エビリファイ後継品の新薬OPC−34712についても、統合失調症、大うつ病補助療法、注意欠陥・多動性障害(ADHD)という3つの適応症でフェーズ�試験が行われている。今年、フェーズ�に引き上げる予定がある。OPC−34712はエビリファイを超える安全性の高い薬剤を目指して開発を進めている。もちろん、エビリファイの特許切れ前に発売を間に合わせる。
中枢神経系では抗てんかん薬での提携を実現させたほか、貼付剤のパーキンソン病薬の開発も順調に進んでいる。電解質を排出せず、体内から水分だけを出す薬剤の開発にも成功。がん領域でも製品ラインナップの充実が進んでいる。
--ニュートラシューティカルズ(NC)事業の収益力改善に、どのように取り組みますか。
2000年代に入ってから売り上げを伸ばすことばかりに目が行き、低価格競争に巻き込まれてしまった。一昨年から広告宣伝費や販売促進費の使い方を見直し、利益率の改善に力を入れている。2ケタの営業利益率に回復させたい。
また、大豆バーSOYJOYや大豆炭酸飲料SOYSHなど、大豆を素材とした独創的な製品も、世界に広めていく。
変化に果敢に対応していくことで、ヘルスケア分野で世界5指に入る傑出した企業グループを目指したい。
(麻田真衣、岡田広行、島田知穂、高橋志津子 撮影:吉野純治 =週刊東洋経済2011年3月12日号)
※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
ひぐち・たつお
1950年6月生まれ。77年に大塚製薬入社後、2000年に同社社長。08年、大塚ホールディングス社長に就任。大塚製薬時代に、カロリーメイトの開発に携わった。
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