日本政治にとって「大転換点」となった参議院選挙 安倍政治が終わり、平和志向の戦後政治も転機を迎えた
30年間追求してきた政権交代可能な政党システムというテーマに取り組むためには、立憲民主党を軸に野党を再構築するしかない。その際に重要なのは、連合の役割である。民主党の時代には、連合が支えて政権交代を目指していた。
しかし、芳野友子会長の下では、共産党と協力しないことが強調され、立憲民主党の指導部もそれに同調した。それゆえ、参院選の1人区での戦いも、共産党や市民を巻き込んだものとはならず、前回、前々回のようなエネルギーを生み出せなかった。
すぐに政権交代の道筋を描くことは困難だが、当面、翼賛体制に反対する強い野党の結集に向けて、立憲民主党と連合が方向性を共有することが必要である。選挙協力はその後の話である。
狭い選択の幅の中で議論することになる
第2は、戦後政治に流れてきた平和志向の終わりという点である。
憲法擁護の旗頭だった社会民主党はかろうじて1議席を獲得したが、衰弱は止まっていない。2020年夏に立憲民主党からの合流呼びかけをめぐって分裂したことが響いている。ウクライナ侵攻を受けて安全保障が重要な争点となった選挙で、伝統的な憲法9条擁護の訴えが広い支持を集めることはなかった。今後は、自衛隊と日米安保の運用について狭い選択の幅の中で議論することになるのだろう。
社民党の未来はない。ただ、社民党には地方議員、地方組織があるので、これを有効に生かすべきである。憲法擁護、平等志向で主張が近い立憲民主党に合流し、この党の左側の派閥をつくることが、日本社会党の遺産を日本政治に生かす唯一の方法である。それは野党の軸を再建するためにも必要だ。
第3は、安倍政治の終わりという点である。暗殺によって有力政治家の時代が終わることは、民主主義においてあってはならない。この点は何度も強調しなければならない。それにしても、安倍氏が首相退任後も持論を展開し、自民党内に大きな影響力を振るってきた状況は一変する。
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