元自衛官が安倍氏銃撃「プロの犯行」といえるのか 自作銃を使用、防衛省・自衛隊幹部が語ったこと

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安倍晋三元首相が銃撃されたことを伝える新聞の号外(写真:ブルームバーグ)

7月8日の昼ごろ、用件先に向かう電車の中でスマートフォンを触っていると、安倍晋三元首相が銃撃されたというニュースが飛び込んできた。私も多くの市民と同じく呆然としながら、続々と配信されるニュースを読んで事件像を追った。

数時間後、容疑者の山上徹也(41)が元海上自衛官であると報道され、自作の銃で犯行におよんだことを知った私は嫌な予感がしたが、それはすぐに的中した。

「山上容疑者は元海自(海上自衛隊)だって。動機の解明はこれからだが、第2のオズワルドだな」

連絡の主は大手新聞の社会部記者で、オズワルドとは1963年のケネディ大統領暗殺事件の実行犯のこと。山上容疑者が元海自であったことをとらえて、元海兵隊員のオズワルドに例えたのだ。自衛隊で射撃の訓練を受けたプロによる犯行――そんな絵を頭の中で描いているようだった。

私が感じた嫌な予感とは、元海上自衛官という山上容疑者の経歴をだけを見て、軍事知識をほとんど持たないメディアが誤った憶測を流してしまうことだった。

本稿では防衛省・自衛隊関係者へのインタビューを通じて山上容疑者の経歴からみる元自衛官としての実力について解説していきたい。

元海上自衛官の犯行に防衛省内は騒然

防衛省内局に勤める防衛官僚は犯行当日の夕方、申し訳なさそうにインタビューに応じた。

「戦後レジーム打破をうたい、防衛力強化を推し進めた安倍元首相を信奉する防衛官僚や自衛官は多い。ですから私を含めて、最初は安倍元首相を敵視する過激派か左翼活動家の犯行だと思っていました。

そんなところに、元海上自衛官による犯行のニュースが飛び込んできたので、省内は茫然自失となりました」

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