元自衛官が安倍氏銃撃「プロの犯行」といえるのか 自作銃を使用、防衛省・自衛隊幹部が語ったこと

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山上容疑者の経歴の中で気になるのが、護衛艦「まつゆき」砲雷科と第1術科学校への勤務だ。

砲雷科とは、いわゆる大砲やミサイルなどの武器を操作したり、不審な外国船舶を臨検するための立入検査隊を編制したりする部署のことで、第1術科学校には特殊部隊「特別警備隊」の隊員を養成する特別警備課程も存在する。

「まず護衛艦の艦内編制から説明したほうがいいでしょう。護衛艦は艦長の下に、砲こう武器やミサイル、魚雷を担当する砲雷科、航海や通信、戦闘システムを担当する船務科、エンジンを担当する機関科、補給科、衛生科、飛行科で編制されます。

山上容疑者は砲雷科にいたようですが、“ノーマーク”であったため、仕事は出入港時のロープワークやさびを防止するための金物磨き、防火・防水訓練時の伝令など簡易なものだったはずです」(護衛艦艦長)

ノーマークとは、専門技術を持たない水兵のことを指す。旧海軍時代、専門技術を持った下士官兵が技術をあしらったマーク(図柄)が描かれたワッペンを軍服に付けていたため、海上自衛隊でも職種(専門技術)をマークと呼び、職種をもってない隊員をノーマークと呼ぶ。

立入検査隊に入隊するための条件

海上自衛隊では、入隊2年目ごろに術科学校の海士課程に入り、大砲の操作・整備を行う「射撃員」やレーダーを操作する「電測員」、調理員である「給養員」などの30近い職種に振り分けられる。山上容疑者は武器を操作する砲雷科に配置されていたものの、海士課程を出ていないため専門技術を持たず、金物磨きなどの雑用を行っていたというわけだ。

「(不審な外国船舶を臨検する)立入検査隊は真っ黒な戦闘服にヘルメット、防弾チョッキ、拳銃という出立ちで不審な外国船舶に乗り込むわけですから、拳銃射撃や近接格闘術の訓練を頻繁に繰り返します。

しかし、立入検査隊に入れるのは3等海曹以上でマークを持ち、かつ立入検査課程を修業した隊員だけですので、山上容疑者が立入検査隊にいたことはないと考えられます。また、彼が特殊部隊員養成の特別警備課程に入ったこともないと考えられます。

報道が事実であれば、彼は第1術科学校の練習船に乗り組んでいたようです。練習船とは幹部自衛官や海曹の学生が実習で使う全長35メートル、排水量170トンの中型漁船くらいの船です。もちろん、武器は搭載していませんし、瀬戸海を実習航海するのが任務なので戦闘訓練も行いません」(護衛艦艦長)

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