安倍氏死去、日本人の経済活動を左右する2つの軸 異次元金融緩和修正と憲法改正の可能性に備えよ

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思い出していただきたいのは2012年に日本が尖閣諸島を国有化した際に中国で起きた反日デモです。当時、事態は中国の50都市に広がり、日系企業の工場は焼き討ちに遭い、日本の商店や飲食店のガラスは破壊されました。

当時もそうですがそれ以上に現在では日本企業のグローバル化は進んでいます。サプライチェーンが滞る、不買運動で海外売り上げが激減する、場合によっては現地からの撤退も視野にいれなければならなくなるなど、そのような場合に起こりうるリスクの影響も以前よりも大きくなってきています。

コロナ禍でも半導体不足や上海ロックダウンでの部品や製品供給の滞り、港湾物流の停滞、国際コンテナ価格の高騰などさまざまなマイナス影響が起きました。それがアフターコロナでこれから徐々に正常化されていくであろうという期待で経営計画を立てているとすれば、別の方向からの不意打ちを食らってしまうリスクが出現したということです。政治面での憲法改正の動きが実現するとしたら、不確実な形で経済前提に影響を及ぼしうるのです。

単一の国・地域への傾注はより危険に

当然ながら個々の企業としてはビジネスでの友好関係を強固にするべく手を打つわけですが、国レベルでの偶発的事象については予測も事前対策も難しいところがあります。これからの3年間、そのような事件が起きるリスクを想定したうえで、単一の国や地域へ過度にビジネスが依存しないようにサプライチェーンやビジネスポートフォリオの見直しをすることが重要になったのだと思います。

さて話をまとめます。未来の前提が1日で大きく変わってしまうという大きなことが起きてしまった。本記事の内容にとどまらず、これから起きる新たな変化に対しての情報収集の努力は怠らないようにすることが求められます。一方で衝撃も現実として受け止めなければなりません。安倍元首相のこれまでの政治活動に感謝をするとともに故人を悼みたいと思います。

鈴木 貴博 経済評論家、百年コンサルティング代表

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すずき たかひろ / Takahiro Suzuki

東京大学工学部物理工学科卒。ボストンコンサルティンググループ、ネットイヤーグループ(東証マザーズ上場)を経て2003年に独立。人材企業やIT企業の戦略コンサルティングの傍ら、経済評論家として活躍。人工知能が経済に与える影響についての論客としても知られる。著書に日本経済予言の書 2020年代、不安な未来の読み解き方』(PHP)、『仕事消滅 AIの時代を生き抜くために、いま私たちにできること』(講談社)、『戦略思考トレーニングシリーズ』(日経文庫)などがある。BS朝日『モノシリスト』準レギュラーなどテレビ出演も多い。オスカープロモーション所属。

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