安倍氏死去、日本人の経済活動を左右する2つの軸 異次元金融緩和修正と憲法改正の可能性に備えよ

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要するに異次元緩和が終わり始めるということを意味します。影響は円安の解消だけではなく、国内の投資は減り、景気はいったん悪い方向に動く可能性があります。悪いことが起きることがわかっていてもアメリカが前年比で8.6%増(2022年5月)という大幅な消費者物価指数の上昇を抑えるため、景気過熱に水を差そうとしていることがきっかけなので、超円安を抑えるためには仕方のない方針変更となるはずです。

しかしながらそもそも現在起きている物価高は円安も一因ですが、その根っこは原油高、小麦高など国際相場が高騰していることが原因なので円高になっても物価が大きく下がるわけでも、消費者の購買意欲が戻るわけでもありません。

そしてそうなったとしたら、その段階で気をつけなければならないのはコロナ禍で多くの企業の借入金が増えていることです。日銀が方針転換したら、コロナ不況での収入減を、異次元緩和と緊急融資措置での借り入れでしのいで来た企業経営者にとっては、やがて支払い金利が上昇していく事態に直面することになります。

経営の引き締めを想定する必要がある

このような変化がこれから2023年にかけて起きることが予測できる以上、企業経営者は今から経営の引き締めを考える必要があると私は考えています。背伸びをした投資計画を見直すこと、そして有利子負債を今のうちに減らしてこれから来る可能性が増えた不況と金利上昇に対抗できるよう経営をスリム化する必要が出てきたというのが、ひとつめの前提変更です。

② 憲法改正が引き起こしかねないグローバルビジネスリスク

アベノミクスが軌道修正される一方で、安倍元首相の政治的悲願であった憲法改正は逆にその政治的遺志を継ぐ形で実現化の方向に力学が動くと私は想定しています。与党の議席が盤石となり、これから国政選挙のない「黄金の3年間」が始まるのが基盤となります。

そして日本がどのような国であるべきかについては他国にとやかく言われる話ではありません。しかし自衛隊の在り方については周辺国が強く警戒していることは事実です。そうなると経営者がリスクとして考えておきたいことは、いずれまた偶発的なトラブルが海外で起きるであろうということです。

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