岸田首相はアベノミクスを本当に継承するのか 日本株は参議院選挙後も上昇を続けられるのか

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だが、誰が次の総裁に就任しようが、インフレ圧力が強まっている中で「金融緩和の正常化」の名の下に、政策を転換することは容易ではない。安倍元首相の死は、まさにこうした微妙な時期に起きた。

「防衛関連銘柄への流れ」は不変か

アベノミクスの影響で進んだともいわれるドル高円安については、その悪影響を指摘する声も大きく、説得力もあるように映る。

だが、2013年4月に炸裂した「黒田バズーカ」で、日本経済が苦しんでいた円高が緩和されたことも事実で、再び円高になれば問題がすべて解決するというのも短絡的すぎる。日本の競争力が従来よりも弱体化しているなら、現実を受け入れた円安という「現在地」から出発したほうが理にかなっている。

はたして、岸田政権は10日の参院選の結果を受けて、どう動くのか。目指す国家像が一致しない安倍元首相がこの世を去った今、もし大勝となった場合、どうなるのか。

「そもそも、岸田首相が確固たる方向性を持っているわけではない。参院選が大勝となっても、それは安倍元首相の死のおかげであり、決して岸田首相への信任が高まるような流れにはなりにくいのではないか」(前出のストラテジスト)

ただ1つ、今後も確実にいえそうなのは、岸田首相が北大西洋条約機構(NATO)首脳会議で「ウクライナは明日の東アジアかもしれない」と発言したことでも明らかなように、防衛関連銘柄への資金流入継続か。

代表的な防衛関連銘柄である三菱重工業は8日、安倍元首相が銃撃を受けた直後、「後ろ盾を失うのでは」という思惑とは裏腹に上昇。結局、前日比約5%上昇して引けた。その値動きは、安倍元首相からの「最後のメッセージ」のようにも見えた。

(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

福井 純 「会社四季報オンライン」編集部長

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ふくい・じゅん / Jun Fukui

『会社四季報プロ500』編集長などを経て現職。『株式ウイークリー』編集長兼任。国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)、日本テクニカルアナリスト協会理事

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