ニコン利益半減、いったい何があったのか カメラも露光装置もダブルで不振

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主力のカメラ事業は市場縮小で苦戦。半導体露光装置も販売期ズレが響いた(撮影:尾形文繁)

いい感じに展開していたが、最後にシュートが決まらなかった――。ニコンの牛田一雄社長は2月5日の記者会見の場で、今期2度目の下方修正に対してこうコメントした。

ニコンの2015年第3四半期累計(2014年4~12月)は、売上高が6178億円(前年同期比15.7%減)、営業利益が267億円(同32.1%減)、純利益が167億円(同55.4%減)で着地。これを受けて通期の売上高見通しを前回予想から400億円減の8600億円(前年同期比12.3%減)、営業利益見通しを170億円引き下げて360億円(同42.8%減)とした。

カメラと半導体露光装置がダブルで不振

ニコンは2014年8月にも営業利益予想を630億円から530億円へと100億円引き下げている。前回の修正要因はカメラ事業の不振だったが、今回はそれに加えて半導体露光装置(ステッパー)事業が大幅下方修正の要因となった。

セグメント別に見ると、市場縮小が続くカメラ事業は第1四半期に営業利益を660億円から580億円へ80億円の下方修正をしたものの、その後は販売計画通りに推移していた。が、14年9月に発売した一眼レフカメラ「D750」に初期不良が発覚して1月の生産を停止した影響と、中国・ヨーロッパの市場停滞が想定以上だったことから、結局、通期事業利益をさらに50億円下方修正し、530億円とした。

さらに半導体露光装置の販売期ズレも痛手となった。半導体製造装置の1つである半導体露光装置は「世界一精密な装置」と言われ、最高級機種である「ArF液浸」は1台50億円にもなる。そのため、1台売れるか売れないかで業績に与える影響が極めて大きい。

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