ニコン利益半減、いったい何があったのか カメラも露光装置もダブルで不振

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今2014年度はArF液浸を前年比倍増の18台売る予定だったが、第3四半期が終わって売れたのは僅か1台。第4四半期も挽回の見通しが立たず、売り上げ目標を9台へと下方修正を余儀なくされた。通期の事業売上高も前回予想比マイナス400億円の1700億円、事業利益も同マイナス110億円の80億円へと下げた。牛田社長は「見込んでいた9台のうち4台は来期へ売り上げ計上がズレたが、残りは商談継続中。確実に前進はしているが、新規顧客開拓が形として現れていない」とコメント。当初の見通しの甘さを露呈した。

通常は増益要因となる円安も今期に関しては効き目薄だったようだ。「ユーロ高は通常どおり増益に効いたが、ロシアのルーブル安による減益が大きかった。ドル高も想定より増益に貢献しなかった」と伊藤純一副社長は述べた。

信用の回復には時間が必要

厳しい状況が続くニコンの露光装置事業だが、決して悪いことばかりではない。現在、半導体露光装置シェアの8割を占めているのはオランダのASML社だが、ニコンは去年ASML社製品の性能を凌駕する新製品「NSR-S630D」を投入、反転攻勢に出ている。

新製品の場合、製品テストから売り上げ計上まで半年~1年程度かかるため、新製品効果が本格的に寄与してくる来2016年3月期期以降はASML社のシェアを奪って成長に転じることありうる。「ニコンとASMLの性能差は用いている方式の違いによるもの。簡単にひっくり返る物ではない」(ニコン広報)。

だが、底打ちのタイミングがいつになるかについては不透明だ。ここ数年間、会社は楽観的な予想を出しては下方修正を繰り返しており、株式市場からの信用を失いつつある。決算説明会では「毎回目標未達に終わる目標に意味はあるのか」という質問が浴びせられ、2014年6月に発表したばかりの中期経営計画についても「修正の必要があるのではないか」との指摘があった。

実際、露光装置の新製品が寄与したとしても、カメラ事業は市場の成熟化により今後も縮小が避けられそうもない。中計では来2016年3月期に今期予想比2.5倍となる営業利益900億円目標を掲げているが、非現実的な数字となっている。

渡辺 拓未 東洋経済 記者

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わたなべ たくみ / Takumi Watanabe

1991年生まれ、2010年京都大学経済学部入学。2014年に東洋経済新報社へ入社。2016年4月から証券部で投資雑誌『四季報プロ500』の編集に。精密機械・電子部品担当を経て、現在はゲーム業界を担当。

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