SNSで測定、記録的猛暑が日本の「緊張」を高める 日本の「空気感」を大きく変える出来事とは
SNSでの情報を活用することで、個人の考え方などを把握することができるようになってきた。野村総合研究所(NRI)では、Twitterの投稿内容の変化をもとに「日本の空気感」について測定した研究成果を発表した(参照:「SNSで測定「空気感指数」に見る日本の心配な現状」)。
「空気感指数」は、活気・混乱・落込み・怒り・緊張・疲れの6指標で構成され、さまざまなニュースや事件への反応が指数として表される。一般的に、「活気」指標はイベントや規制の緩和、「混乱」は政治的事件や経済的ニュース、 「落込み」は事件や芸能で変動、 「緊張」は大規模な災害、 「怒り」 「疲れ」は長期の政策や世相に反応して変動する傾向がある。今回は、空気感指数の変動を見ながら、日本の空気感に大きなインパクトを与えた出来事を振り返ってみよう。
「緊張」指標でみる災害立国日本の空気感
空気感指数の中でも顕著に変動するのが、自然災害等の発生による「緊張」指標の変動だ。「緊張」指標が特に大きく上振れしたニュースは「2022年3月16日福島県沖震度6強地震」「2021年2月13日福島県沖震度6強地震」「2019年10月12日令和元年東日本台風」「2019年6月18日大阪北部地震」「2016年4月14日熊本地震」である。
グラフは、この5つの災害に関する「緊張」指標を発災日を基準に重ね合わせたものだ。熊本地震は、九州地方での初の震度7や、前震等の兆候なく突然の地震であったことから「緊張」指標のピークが高く出たと考えられる。また、4月14日と4月16日に震度7を観測する地震が2回起きたことから、4月14日の発災日以降も「緊張」指標が下がりづらくなっている様子もわかる。
東日本台風では、台風第19号に関する事前に多くの報道が行われたことから、6日ほど前から「緊張」指標が徐々に高まりを見せ、発災当日のピークも特に高くなっている。徐々に迫る台風に対して対策を取らなければいけないという緊迫感が、事前に「緊張」指標を高める傾向にある。昨今では事前の「緊張」指標が高まる期間の長さも相まって、震災被害以上に豪雨被害が多くの国民に緊張感を与えている。
このように「緊張」指標は、大きな自然災害などの突発的な現象で反応する。災害に対する基本的な反応としては、発災当日に大きくピークを作り、2~3日で日常の水準である10%変動幅内に戻っていく傾向にある。記録的な災害であっても、そのピークの高さが異なる程度で、すぐに落ち着きを取り戻す様子が日本人の特徴と言えるだろう。
災害発生の数日後に、元に戻ってしまった空気感の水準を見るのではなく、災害が発生した時点での空気感の変化幅を考慮しながら災害対策などの政策議論が求められる。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら