SNSで測定、記録的猛暑が日本の「緊張」を高める 日本の「空気感」を大きく変える出来事とは

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今年は6月27日に関東甲信地方などで梅雨が明けた。記録的な猛暑は2018年以来で、この年も6月29日に関東甲信地方などで梅雨明けが発表された。2018年は、北海道胆振東部地震、大阪府北部地震、西日本豪雨、台風21号・24号直撃、記録的猛暑など、自然災害が多発した年だ。この年の漢字としても「災」の字が選ばれた。2022年も自然災害による「緊張」指標の高まりに注意することが必要だ。

複雑な社会情勢が「混乱」を高める

政治的事件や経済的ニュースに反応するのは「混乱」指標である。混乱の空気感は、災害とは異なり、中長期にわたる話題であることや、様々な要因が複数に絡み合うことが多いため、特定の日で急激に高まるわけではなく、事件やニュースが起こった日から徐々に高まりを見せることが多い。

2015年以降、顕著に高まったのは、2020年10月9日であり「混乱」指標が通常時より28%増となっている。その他の指標は大きな変動はしていない。GoToイートのポイント付与事業において仕組み上の不備を指摘され、当時の野上農林水産大臣が会見を行っている。コロナ禍でのGoToトラベル実施における混乱をそのまま引き継いでしまった背景や、10月1日には日本学術会議の任命拒否問題が報道され、政府批判が強くなっていた時期でもある。

2018年6月6日~6月14日のおよそ1週間は、政治に関する様々な出来事が重なることで、混乱が高まった時期だ。「加計学園問題」で国会が長い議論を続けている時期であり、「混乱」指標が通常時の10%~20%程度高めで推移した。

この時期には「中国海警局の領海侵犯」「新幹線車内の殺傷事件」などが起きていて、複数並行して指標に織り込まれていると考えられる。また、5月にはトランプ米大統領が6月に予定の米朝首脳会談の突然の中止を宣言し、一時は政治や株式市場まで混乱させる様子を見せた。当初予定日の6月12日に開催するかどうか直前まで大きく話題となったことが「混乱」指標の高まりを見せている。最終的に、6月12日に米朝首脳会談が予定通り行われたことから、その後、落ち着きを見せている。

日本の空気感として、「緊張」の空気感は1つの災害で高まることが多いが、「混乱」するかどうかは、複数の政治的な要因が影響していることが多い。1つの象徴的な出来事が、日本を混乱させるのではなく、複数の要因が重なったことで混乱させるようだ。

そのため「混乱」指標が高まってきた時には注意が必要だ。「緊張」指標のように、災害が続かなれば数日で元に戻るわけではない。複雑な要因で高まった混乱を落ち着かせることは簡単ではない。「混乱」指標が高まった場合には、その要因を紐解きながら、具体的な対策を提示し、時間をかけて落ち着かせることが求められる。

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