新関空入札に暗雲、そして誰もいなくなる?

2.2兆円の巨額負担に候補企業が難色

新関空会社の安藤圭一社長が三井グループの出身(三井住友銀行の元副頭取)であることから、「本命中の本命」とみられていたのが三井不動産だ。が、ある関係者は「今の条件では1次入札から降りることになる。企業連合の“2番手企業”として参画する方法もあるが、1次の段階ではそれも模索しない」と明かす。

同じく候補企業の三菱地所も静観の構えだ。仙台空港の運営権獲得に向けて10人規模の専門組織を2014年に立ち上げた一方、関空では特別な組織を設置していない。同社の渡部勝・空港プロジェクト推進室長は「仙台では40年以上も前から街の開発に取り組んできたので、地域の発展に役立ちたい気持ちがある。だが、関空は金額負担が大きく、45年間の均等払い。そんな先まで事業を見通すことは難しい」と語る。

ほかの候補企業も「条件が厳しいので慎重に検討中」(東京急行電鉄)、「1社で運営できる規模ではない。企業連合を組もうにも、現場は(相手が見つからず)苦戦しているようだ」(オリックス関係者)というありさまである。

新関空会社の見通しは現実的か

提示金額の前提となった新関空会社の事業見通しは、候補企業には楽観的に映る。

関空は目下、格安空港会社(LCC)の就航増により、アジアからの旅行客が急増中。伊丹と合わせた13年度の営業利益は326億円と、前年度から20%超上昇した。

「14年度のEBITDA(償却前の営業利益)は約600億円になる見込み。民間企業が年間対価を支払っても、キャッシュフローはプラスになる計算だ。少なくとも20年の東京五輪開催までは、外国人旅客数も順調に増えるだろう」と、新関空会社の石川浩司コーポレートコミュニケーション部長は強調する。

これに対し、候補企業の幹部は「継続的に十分な利益が出るとは、われわれはとらえていない」と語気を強める。空港民営化のコンサルティング実績のある不動産サービス大手、CBREの溝口陽子コンサルタントは「感染症の発生など外部環境で旅客数が急減することも考えられる。企業はこうしたケースを含めて幅広く検証する必要がある」と、企業側の見解を代弁する。

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