新関空入札に暗雲、そして誰もいなくなる?

2.2兆円の巨額負担に候補企業が難色

こうした“ボタンの掛け違い”は、なぜ生じたのか。前出の候補企業幹部は「新関空会社は(事業としての)視点がずれていると言わざるをえない」と首をかしげる。数年にわたりコンサルティング会社を介して、新関空会社と民間企業との間で意見交換がなされたようだが、うまく機能せず、基本的な考え方がすれ違ったままのようだ。

仕切り直しの可能性も

そもそも今回の民営化スキームは、「新関空会社が抱える1兆2000億円もの負債を民間企業に肩代わりさせるだけの、窮余の策にすぎない」と非難する関係者は多い。

候補企業が“すれ違い”を解消するための好機と位置付けているのが、当初のスケジュールでは3~4月に予定されていた「競争的対話」だ。

1次入札の審査を通過した企業が2次入札の前に新関空会社と意見交換する場が設けられており、ここで何らかの条件変更を求める道筋が残されている。1次や2次でどの企業も入札しなかった場合は仕切り直しとなり、対価の減額など条件が再提示されることも考えられる。

関空はアジアに近く、外国人観光客からの人気が高い。空港島には施設拡張のための敷地余地も十分にある。このポテンシャルを生かすためにも、民間の知恵をフル活用することは不可欠だ。

英国では、ハブ空港や地域密着型空港など複数の空港を同一の企業が運営することで、特色のある独自の路線網を構築している。関西にも、関空と伊丹だけでなく、神戸や南紀白浜といった後背地に観光名所を抱える空港がある。「これらの空港を戦略的に組み合わせていく視点が必要」と、関西学院大学の野村宗訓教授は指摘する。

ここに来て新関空会社は、運営期間中の中途解約を容認する意向もちらつかせている。候補企業との溝を埋めるためには、もう一段踏み込んだ議論が求められる。

「週刊東洋経済」2015年2月14日号<9日発売>「核心リポート02」に一部加筆)

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