(第62回)2012年度新卒採用動向調査【前半戦】 企業の動向編2

●多くの学生が参加できない合同セミナーの実態

図表7:大学主催の学内セミナーや、就職情報会社主催の大学別セミナーへの参加大学数

 これまでターゲット大学に関するデータを紹介してきた。ターゲット大学を設定している企業がさまざまな方策で、コンタクトを取ろうとしている。  しかしその一方で大学に出掛けるのは特定の大学に限定され、合同セミナーに参加する企業は意外なほど少ない。
 まず大学で開催される学内セミナーは、大学のお墨付きなので学生が安心できるし便利でもある。しかし「参加しない」企業が27%もあり、「1~10校」が半分を占めている。そして「11~20校」は14%。ターゲット大学以外は無視されている。

図表8:参加した(する予定の)合同セミナー数(図表7のセミナーを除く)

 全国の大学数は800校近くあるから、多くの大学の学生は大学開催のセミナーに出席できないのだ。
 大学以外で開催される合同セミナーへ参加する回数も少ない。そもそも「参加しない」企業が41%もあり、参加回数が5回以下の企業が41%を占めている。合説は学生が効率的に企業研究できる場だが、参加企業は意外に少ない。多くの企業は就職ナビに依存しているのだろう。

●61%の採用担当者が、就職ナビがこれからも「中心的役割を担う」と考えている

図表9:採用プロモーションの中心的役割を担ってきたといわれる就職ナビの今後

 2013年度採用から何かがある程度変わるだろう。特に興味深いのは就職ナビのオープン時期だ。この就職ナビの役割について採用担当者はどのように考えているのだろうか?
 最も多いのは「これまでと変わらず中心的役割を担う」の61%だ。「これまでは中心的役割だったが、今後は見直す」が14%だから、多くの採用担当者が「変わらない」と考えている。

 企業規模で意見はかなり異なる。「5001名以上」では80%が「就職ナビが中心的役割を担う」としている。採用数が多いので応募者の確保に就職ナビが必須ということだろう。一方、「1001名~5000名」が見直し派24%と最も多く、企業規模が小さくなるほどナビ依存度は下がる。

 フリーコメントを読むと、就職ナビに対する関心、問題意識は高い。いくつかを紹介しよう。

・もっと学生とのリアルなコミュニケーションの場が必要。ナビにより企業・学生双方の垣根を下げたことで、利便性は確かに向上されたが失ったものも大きい。(食品、501名~1000名)
・ターゲット学生に直接的に接触可能な方法を模索しなければ、エントリーばかり多くなり、ますます採用活動に手間暇がかかるようになる。結果的に直接選考に結び付く率が低くなる。(建設・設備・プラント、501名~1000名)
・学内セミナー、個別セミナー等による母集団形成。ターゲット研究室への訪問など。その他海外人材アプローチ。(化学、5001名以上)
・ナビ採用数を減らすことを検討する。学校と直接コンタクトを取った母集団の形成に期待したい。(精密機器、1001名~5000名)
・就職イベントなどで直接会った学生のほうが魅力づけしやすく、ミスマッチが少なく、社内セミナーへ動員できる。(情報処理・ソフトウエア、301名~500名)
・1000名を集めて50名採用するやり方から、100名と出会って50名と縁ができる採用に変えていく。(情報処理・ソフトウエア、1001名~5000名)
・当社の採用人数(20~30人)であれば、学内説明会やキャリアセンター・就職課との連携で、ある程度の人数は確保できると考えているので、ナビは補完的役割としていく予定。まず、リクルートとマイナビが率先して、サイトオープンを遅くしていくことが肝要。(百貨店・ストア・専門店、1001名~5000名)
・HPからのみエントリーシートさせる仕組みへ変更。ナビだと、学生は説明会日程を検索するばかり。企業情報をほとんど読み込むことがなくエントリーする学生が多く、説明会でミスマッチが多く発生している。(その他サービス、301名~500名)

 次回は、インターンシップの実施状況、そして外国人/留学生の採用について取り上げる。

HRプロ株式会社(旧社名:採用プロドットコム)
(本社:東京千代田区、代表取締役:寺澤康介)
採用担当者、教育・研修担当者をはじめとしたHR担当者のための専門サイト「HRプロ」シリーズを運営。新卒/中途採用、教育・研修、労務、人事戦略などの業務に役立つニュース、ノウハウ、サービス情報、セミナー情報を提供している。HR担当者向けのセミナーも東京・大阪で開催している。

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