運賃高すぎ「北総線」、10月値下げで新たな動き 線路使用料契約の変更をHP上にひっそり掲載

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同シンポジウムでは北総鉄道の値下げを歓迎するとともに、依然として高額である普通運賃、通勤定期の値下げの可能性について議論された。

北実会は今回の値下げの意義を以下のように示した。

1.長年の懸案であった通学定期の大幅値下げ
2.北総線内のメタボ型運賃の是正
3.北総鉄道自身の体力から見て、精一杯の値下げ

一方、残された課題として以下をあげた。

1.普通運賃は京成本線の2倍
2.仕組みとしての親会社への利益移転が残されたまま

北総の高額運賃の原因は、①累積損失がある、②運賃体系が極端な近高・遠安のカーブを描いており、途中の〝腹部〟が異様に大きくせり出した「メタボ運賃」である、③北総線と京成、CNRとの不利な契約関係による利益移転、の3つに分けられるが、今回の値下げは、①が解消見込みであることで値下げの財源の確保が可能となり、通学定期の大幅値下げと、②のメタボ運賃の是正が行われたと言える。

「契約変更」をひっそりと掲載

しかし、手つかずなのが③だ。上記、残された課題の「2.仕組みとしての親会社への利益移転が残されたまま」がこの問題にあたり、特に北総がCNRに支払う線路使用料が問題視された。

北実会のこうした動きを意識したのか、北総鉄道は同社のホームページの「会社概要」の最後の部分に「線路使用料について」の項目をシンポジウムの直前に掲載し、下記の内容をリンク先に示した。

当社は、小室~印旛日本医大駅間において、第二種鉄道事業者として千葉ニュータウン鉄道株式会社より施設等を借り受けて列車の運行を行っておりますが、その線路使用料のあり方について、制度創設(1988年)以降の状況変化を踏まえ、本来的かつ安定的な線路使用料の体系に変更することとし、これにより、当社としての経営の自由度が高まることになります。
千葉ニュータウン鉄道株式会社が申請をしておりました線路使用料契約変更について、国土交通省より認可を受けた主な変更内容は以下のとおりです。
・改定内容
小室~印旛日本医大駅間における運賃収入相当額を線路使用料として千葉ニュータウン鉄道株式会社へ支払う(一方で、同区間での必要経費を負担金として同社から受け取る)方式から、第三種鉄道事業者である千葉ニュータウン鉄道株式会社が投下資本を適切に回収できる線路使用料額に変更
・改定実施期日 2022年10月1日
以上

シンポジウムの直前に「こっそりと掲載された」(北実会)ため、シンポジウムではこの点について知る者はなく、話題にならなかったが、直後にその内容に注目が集まった。

京成高砂から北総線を通り成田空港を結ぶ成田スカイアクセス線は、京成高砂―小室間で京成と北総線と線路を共用しており、設備の保有者は北総で、京成は北総に線路使用料を支払っている。小室―印旛日本医大間は京成の100%子会社であるCNRが保有しており、北総と京成は小室―印旛日本医大間の線路使用料をCNRに支払っている。さらに印旛日本医大から先は成田高速鉄道アクセスと成田空港高速鉄道が施設を保有している。

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