運賃高すぎ「北総線」、10月値下げで新たな動き 線路使用料契約の変更をHP上にひっそり掲載

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このような契約について、CNRが累積損失を解消しない限り現在の契約内容を変えないとの協定を盾に、北総は条件変更を拒んでいたが、今回、その契約内容を変更し、スキームが変わることになる。ではどのような形になるのか。概ね、下記のようだ。

*新しく設定する線路使用料の中身としては京成のCNRに対する線路使用料の考え(資本費相当分+α)に準拠する。
*CNR区間の保守修繕などの実作業はこれまで通り北総鉄道が担当し、この費用は北総鉄道の営業費になる。
*CNR区間の北総の電車の乗客運賃は北総鉄道の収入になるので、客が増えれば北総の利益となる。

「経営の自由度が高まる」という意味はここにある。リスクもあればリターンもあるということだ。

これまで北総の社長はCNRの社長、京成の取締役も兼務していたが、現在の室谷正裕社長はCNR、京成の役員を兼務していない。すなわち、立場的に言えば、北総社長が北総第一の経営を行えるようにようになったといえる。そうした中で10月からの運賃値下げ表明に加え、線路使用料設定方式の変更が決まった。

この線路使用料設定方式の変更は10月に予定されている運賃値下げとは別個のものであり、このことが直ちにさらなる運賃値下げにつながるかは不透明だ。

現在の室谷社長は国交省OBであり、そのことも批判の対象になってきたが、京成、CNRの役員兼務を解かれて以降、北実会との交流もしており、その姿勢は周りを驚かせている。そもそも地域の重要な足である鉄道の社長が沿線住民と交流等をしてこなかったこと自体が異常である。

北総沿線は無限の可能性

北実会が北総の契約関係の是正を求める主張に対して批判が聞かれることがあるが、そもそも、印西市長、白井市長、印旛村長、本埜村長等で組織する「北総線運賃問題対策協議会」が2009年3月に線路使用料の見直し等を求めて国土交通大臣に要望書を出しているし、国会では斉藤鉄夫衆議院議員(現・国交大臣)が衆議院委員会で、千葉県議会では丸山慎一県議(当時)、藤代政夫県議(当時)などが県の執行部に対して活動を行っていた。

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しかし、2009年に千葉県と沿線自治体が補助金を出す形で5%ほどの値下げを実施したあたりから風向きが変わり、北実会の活動が目立つ形となって今日に至っている。

首都圏全体で鉄道の競争環境が厳しさを増すなかで、協働していく必要があり、ようやくその環境が醸成されてきたということであろうか。

北総鉄道は都心へのアクセスもよく、成田空港にも羽田空港にも直結し、沿線には緑豊かな住環境が豊富にある。運賃の“バリアフリー”が進めばその発展は無限だろう。鉄道会社も沿線住民もともに潤う地域発展を望みたい。

細川 幸一 日本女子大学名誉教授

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ほそかわ こういち / Koichi Hosokawa

専門は消費者政策、企業の社会的責任(CSR)。一橋大学博士(法学)。内閣府消費者委員会委員、埼玉県消費生活審議会会長代行、東京都消費生活対策審議会委員等を歴任。著書に『新版 大学生が知っておきたい 消費生活と法律』、『第2版 大学生が知っておきたい生活のなかの法律』(いずれも慶應義塾大学出版会)等がある。2021年に消費者保護活動の功績により内閣総理大臣表彰。歌舞伎を中心に観劇歴40年。自ら長唄三味線、沖縄三線をたしなむ。

 

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