災害時の命の綱「非常食」を製造する企業の凄さ 身近なあの企業の製品が災害時に私たちを救う

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非常食といえば乾パンだが、乾パンのトップメーカーは静岡県に本社を置く老舗菓子メーカーの三立製菓(非上場)だ。ロングセラー商品の「源氏パイ」や「かにぱん」も製造している。

同社は金平糖メーカーとして1921年に創業した。1937年に旧陸軍からの要請で乾パン製造を開始。1959年から市販用を「カンパン」ブランドで発売し、1972には缶入りを追加した。袋入りの賞味期限は1年、缶入りは5年であり、缶には氷砂糖も入っている。糖分補給や水がない非常時でも唾液が出て食べやすくなるように工夫されているのだ。1989年には防衛庁から表彰されるなど品質の高さは折り紙付きだ。

乾パンは保存食なので味は二の次と思われがちだが、同社のゴマの香ばしい味は好評でファンが多い。また、乾パンには「固い」というイメージがあるが、原材料の見直しを繰り返して、従来よりも柔らかな歯応えにしている。シンプルな商品ではあるが、少しずつ改善を積み重ねているのがトップメーカーであるゆえんだ。

三立製菓の売上高規模は100億~110億円程度で毎期安定的に利益を上げている。工場は静岡以外に兵庫と大阪にもある。営業所は北海道から九州まで8拠点。商品知名度が高いだけでなく、全国に取引基盤が構築されているため経営は安定している。

子どもに優しい保存食を作る会社

ビスケット業界トップクラスのブルボン(2208)も乾パンを製造しているほか、賞味期限5年の「缶入りミルクビスケット」や「缶入りミニクラッカー」を製造している。

現社長・吉田康の曾祖父である吉田吉造が1924年に新潟県で菓子製造を開始したのが同社の始まり。吉田吉造は関東大震災の影響から地方への菓子の供給が全面ストップした窮状を見て、「地方にも菓子の量産工場を」と事業開始を決意した。創業の経緯に災害が大きく関連していたのだ。

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