「チョコレートかき氷」とは一体どんな物なのか Minimalが着目「リアルとデジタルの相互作用」

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困難は語り尽くせないほどさまざまにあったものの、ワンチームで乗り越えて、結果としてはデジタル化に成功。例えば、以前は販売を行っていたスタッフが現在はデジタルチームの中心的な役割を担うまでになっているそうだ。

ECの強化にあたっては、冷凍配送できるチーズケーキを目玉商品として開発した。当初は珍しかった冷凍スイーツだが、コロナ禍に突入するとあちらこちらで発売され始め、今は当たり前のように購入されている。こうした消費者のマインド変化も追い風となった。

Minimal代表の山下貴嗣氏。コロナ禍の到来とほぼ同時にweb戦略へと舵を切ったことが幸いし、業績はコロナ以前よりアップしているという(撮影:今井康一)

ECとともに、自社SNSでの集客戦略にも注力。インスタグラムのフォロワー数は4万人を超える。感染者数が落ち着いてきた頃からは来店客も戻ってきており、2021年の売り上げは、ECを本格的に開始した2020年に比して240%、店舗売り上げ(富ヶ谷本店)はコロナ前の2019年に比して130%となっている。

以上のように、「リアルとデジタルの相互作用」のよい循環を生み出せたのが、コロナを乗り越えて成長できたポイントだったようだ。それを支えたのが商品力。代々木上原店オープン以前より、パティスリーやレストラン、ベーカリーなどさまざまなバックグラウンドを持つスタッフが集積してきており、それらがもともと有していたチョコレート職人の文化と相互に刺激し合い、チョコレート菓子の世界が広がったそうだ。

産地や生産者に還元する取り組み

客層が広がり売り上げの伸長につながるだけでなく、同社が大切にしてきたフェアトレードの取り組みにもメリットがあった。つまり扱うチョコレートの量が増えたことで、産地により多くを還元できるようになったのだ。

チェコレートからやや離れた取り組みも始まっている。例えばアップサイクルだ。カカオ豆の殻を群馬県深谷市の養鶏場に飼料として提供、その卵を使ったプリンを販売している。春季の限定商品で、すぐに売り切れてしまうそうだ。また、同じくアップサイクルの発想から、米ぬかを使ったチョコレートも開発している。

イートインも可能な富ヶ谷本店店内。チョコレートかき氷のほか、パフェやオリジナルのドリンクも楽しめる(撮影:今井康一)

Bean to Barとしては少し違和感を覚える人もいるかもしれない。しかし素材にこだわれば、その先の生産者や、素材の育成環境である自然環境にも思いをはせるようになる。チョコレートを追求する山下氏の姿勢そのものは創業以来変わっていないのだろう。

今後の課題は円安の影響だそうだ。現時点で例年よりカカオ豆の仕入れコストが3割程度アップしており、将来的にさらに厳しい状況も予想される。事務等一部の外注業務を内製化するなど経営基盤の強化を進めているそうだ。

企業の力が試される、新たな段階を同社も迎えたと言えるだろう。

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