岸田ブレーンが語る日本経済低迷の「真犯人」 村井英樹首相補佐官が語る「岸田政策」の裏側

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――よくありがちな話ですが、企業の子育て支援とイノベーションの関係など、今後の政策を考えると興味深い話ですね。

よくよく聞いてみると、前者の企業は、時短・テレワークなど多様な働き方を積極的に認める、年齢・役職に関係なくおもしろいアイデアを採用するといったようなことをしており、働く側の満足度も総じて高い。

他方で、後者の企業は、年功序列を維持するなど、硬直的な組織になっていることが多いようだ。

民間に活性化を促す国の省庁自体が変わっているのか?

――村井さんは、財務省出身ですが、やはり後者の組織になりますか。

残念ながら、後者の代表選手だと思います(笑)。昭和60年入省の財務省事務次官(事務方トップ)が退官するので、その次は昭和61年入省の人が財務事務次官といった、厳格な年功序列人事を、若手に至るまで、毎年やり続けている。

こうしたことをやる組織は、不思議と働き方も社員目線になっていない。実は最近、財務省時代の後輩から、民間企業で働くと連絡があった。非常に優秀な方だが、財務省的な働き方に疑問を感じたのも偽らざるところのようだ。

――霞が関は、全体として組織が硬直的ですね。

おっしゃるとおりだ。ただ実は、霞が関の中でも、働き方改革の進捗度・組織の硬直度は違いがあるように感じる。こうした組織改革は簡単ではないし、変に政治が出しゃばるとマイナスも大きいが、変革に向けた刺激を与え続けていきたいと思う。また、国会改革などを実行に移し、永田町が霞が関の働き方改革の足を引っ張っている部分を解消していかなければならない。

――冒頭で「黄金の3年」は否定されましたが、いずれにしろ課題は山積ですね。

何といっても、岸田政権を安定政権として、内憂外患ともいえるさまざまな課題に1つひとつ結果を出していくことだ。21世紀になって、森喜朗政権から、菅政権まで10の政権があったが、1年以上安定して政権運営できたのは、小泉純一郎政権と第2次安倍晋三政権の2つだけだ。それくらい、安定政権として腰を据えて政策課題に臨むことは簡単ではない。岸田首相を中心に、できるだけ多くの成果を上げていきたい。

野村 明弘 東洋経済 解説部コラムニスト

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のむら あきひろ / Akihiro Nomura

編集局解説部長。日本経済や財政・年金・社会保障、金融政策を中心に担当。業界担当記者としては、通信・ITや自動車、金融などの担当を歴任。経済学や道徳哲学の勉強が好きで、イギリスのケンブリッジ経済学派を中心に古典を読みあさってきた。『週刊東洋経済』編集部時代には「行動経済学」「不確実性の経済学」「ピケティ完全理解」などの特集を執筆した。

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