「毎日何となく」で飲む人はお酒の怖さを知らない 「なにも考えずに惰性」で飲んでいませんか?
拙著における減酒の考え方も、基本的には予防医学および進行防止の視点に基づいています。「依存症には至っていないけれど、将来的に依存症に進行するリスクのある人たち」が、「健康を害さない適切な飲酒」を実践してほしいと考えています。
減酒を始めるためには、まずあなたの飲酒状況を客観的に把握する必要があります。
「飲酒による損益収支表」を参考に表を作ってみましょう。本来、人はこのような収支に基づいて飲酒をしています。しかし習慣的に飲むうちに、多くの人が収支を意識しなくなり、「何も考えずに惰性で飲む」という状況になりがちです。
お酒の利益しか目に入らなくなる
お酒は強力な依存性薬物なので、ほかのことよりも最優先になる性質を持っています。
本来、人間にとって重要なのは、家族と暮らす幸せ、健康の喜び、仕事の生きがい、趣味の楽しみなどでしょう。お酒は、人生の主役ではなく、脇役にすぎません。
家族や仕事や趣味がメイン料理や主食だとしたら、お酒は、そこに彩りを与えるスパイスのような存在です。
しかし習慣的に飲酒をしているうちにその優先度が増し、いつしか家族や仕事や趣味は隅へと追いやられてしまいます。お酒によってマインドコントロールされている脳は、それに気づきません。論理的に考えているように見えて、実はお酒中心の歪んだ思考になっていきます。
アルコール依存が進行するにつれ、「飲酒による損益収支表」は、図「依存が進んだ場合の損益収支表」のように見えてきます。次第に「飲酒による利益」や「断酒/減酒による損害」しか見えなくなるのです。
「お酒をやめるなんて、できるわけがない」「お酒を減らしたら楽しいことが何もなくなってしまう」などと考えるようになり、無意識にお酒にしがみつくようになります。
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