台北メトロ「1日限定」駅メロディーは何のため? 宣伝媒体に活用、値上げ困難な中で収益拡大策

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しかし、一会社のブランド宣伝の為にここまでするか?と思う方も少なくないだろう。実際、どんな事情があったのか。スポンサーと事業者の2つの観点から探ってみたい。

今回ブランドを変更することとなった「黒人歯磨き粉」は1949年に発売を開始した。アフリカの植物由来の成分を配合していることを特徴とし、黒い帽子に蝶ネクタイとスーツを着飾った黒人が白い歯をアピールするキャラクターをキービジュアルとして、長い間台湾のオーラルケアのトップブランドに君臨してきた。

ブランド一新を「音」で訴える

しかし1991年、製造元にアメリカのコルゲートが出資者として加わると、社会の変遷、差別意識の高まりを考慮し、英語名をイメージ画像の黒い肌が白い肌に変更、「Darkie」と名乗っていた英語のブランド名も「Darlie」に変更したものの、中国語表記の商品名は変えられることがなかった。

黒人歯磨き粉時代の商品(筆者撮影)

実際、「黒人歯磨き粉」は台湾で45%、シンガポールやマレーシアといった華僑の国でも20%以上のシェアがあると言われるほど浸透しており、ブランド変更が容易でなかったことがうかがえる。

その転機が訪れたのが2020年。アメリカでBLM運動が活発化すると、差別的として批判が上がることとなり、創業時の社名である「好来」ブランドとして再出発を決定。キャラクターの顔も白色の比率を増やすなど、一連のキャンペーンを実施してきた。今回の「駅メロ」変更もその1つであり、ビジュアルで売り出しをかけブランドを形成してきた老舗が、別の知覚に訴える新しいプロモーション手法を生んだ。ユニークなメディアの活用方法と言える。

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