アジア部門は11年度後半に月次収支均衡目標。合弁解消の影響は大きくない--岩本信之・大和証券グループ本社CFO

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小


 今期は、当社自身のパフォーマンスが悪いのは事実。大きな案件に絡めなかった。ただ、合弁解消は、リーグテーブルの低下にはあまり影響していないと思う。合弁解消したために主幹事を取られたということは、ほとんどない。

合弁解消が収益に与えた影響はもちろんゼロではないが、そんなには大きくない。当然三井住友銀行の公募増資のシェアや、自社債の主幹事を落ちたことがいちばん大きな影響だが、収益的にはそれほど大きくはない。

かつては銀行のネットワークを最大限利用できる態勢にあったことは事実だし、(合弁解消で)人も抜けたので、そこは(自前で)補充をして、新たな態勢作りに対応している。

--来期以降は案件の増大が期待できるのか。

それなりの成果は出せると思う。

もちろん、劇的に増やすことは難しい。主幹事はなかなか簡単に代わるものではない。三井銀行が住友銀行と統合しても、当社は三井系企業の主幹事はほとんどなかった。逆に言うと、失うところもないということ。銀行と親密な企業の中では、異動の可能性はある。

--株のリーグテーブルで、かつての定位置だった国内2位に戻していけるのか。

それは、戻さなくてはいけないと思っている。人的な配置もそれなりに考えてやっている。事業法人部にしろ、人をかなり重点的に配置し、(合弁解消で)抜けた部分をちゃんと補えるようにしている。それが徐々にワークしつつある。

ただ、日本のマーケットだけで今の状況が続くと、インベストメント・バンキング部門は大変厳しい。
 
--世界的にM&Aが活発化し、日本でも新日鉄と住金の合併協議入りなどダイナミックな再編の動きも出ている。ビジネス機会としてどう考えているか。

日本企業が海外企業を買収する動きなどが増えてきており、M&Aの仲介などは当然、ビジネス機会だと思っている。
 
--合弁解消後、大和はフリーハンドが増したことで、三菱UFJフィナンシャル・グループの公募増資で共同主幹事となり、鈴木社長は当時、「今後は三菱グループとの関係も強化していきたい」と東洋経済のインタビューで答えていた。関係は本当に強化されているのか。

それはよくなっていると思う。銀行の公募増資が象徴的だが、三井住友との合弁時代には、当然取引はほとんどなかった。独立系となり、フリーハンドが増していると実感している。

ただ、このようなマーケットでは案件がほとんどないので、状況はどこの証券会社も厳しいのが現状だ。こういうマーケットに耐えていくには、収益源をもっと多様化しなければならない。

--大和のような証券会社にとって、大手の銀行や保険会社とグループ化するメリットをどう考えているか。

格付けなど財務上の安定性がいちばんだろう。保険会社も運用大手だから、(売買注文の受注や運用商品の相互供給など)それなりのメリットはあるだろう。逆に、特定の金融機関と仲良くなると、他とは疎遠になるなどデメリットもある。

もちろん、現状において、そうした(グループ化の)考えはまったくない。

--三井住友銀行との関係はこの1年半でどのように変化したか。

従来からメインバンクであり、今もそうであって変わらない。もちろん、ジョイントベンチャーをやっていた時代ほどはやっていないが、メインバンクと親密証券という関係であることに変わりはない。

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事