学校で教えない「日本神話」現代にも影響力凄い訳 架空の物語だが、国のあり方を問題にしている

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因幡の白兎の物語には、オオクニヌシノミコト(大国主命)が登場する。そこでオオクニヌシは、かわいそうな兎を慈しむ優しい存在として描かれている。

しかし、オオクニヌシの重要性は、スサノオノミコト(須佐之男命)の子孫としてスクナビコナノカミ(少名毘古那神)と協力し、葦原中国(あしはらのなかつくに)の国作りをしたことにある。

さらに、高天原(たかまがはら)からアマテラスによって遣わされた神々に対して国譲りを行ったことも、古事記においてはそうとうに重要な部分となっている。なお、国譲りの話は、日本書紀では本文では取り上げられておらず、一書(いっしょ)のなかで扱われている。

『広辞苑(第五版)』の「神話」の項目には、次のように記されている。

現実の生活とそれをとりまく世界の事物の起源や存在論的な意味を象徴的に説く説話。神をはじめとする超自然的存在や文化英雄による原初の創造的な出来事・行為によって展開され、社会の価値・規範とそれとの葛藤を主題とする。

神話が問題にするのは「国のあり方」

表現は難しいが、神話とは、世界のはじまりや、世界に現れてきたさまざまな事物がどういった意味をもっているかを語る物語であり、そこには、神々や英雄たちが深くかかわってくる。しかも神話は、社会のあるべき姿を示し、ときに神々や英雄は、そうした社会規範とぶつかり合うこともあるというのだ。

要するに、神話が問題にするのは、国のあり方ということになる。その神話を伝える民族が住む国がどのようにして誕生し、発展してきたのか、神話はそれを語り出すことを目的としている。

国を作る、あるいは国を広げるということでは、必ずやそこに対立が生まれ、それは戦争にも発展する。英雄が活躍する余地が生まれるのも、神話がそうした性格を持っているからである。

そのなかには、因幡の白兎のような物語も加えられてはいるが、それは神話の主たる筋書きを構成するものではない。あくまでサイドストーリーであり、本筋ではない。だからこそ、そうした物語は、伝説やおとぎ話としてもとらえられるのである。

記紀神話では、後半は神武天皇からはじまる代々の天皇のことが語られている。古代の天皇は日本の支配者であり、まさに国の根本的なあり方と深くかかわっている。

しかも、天皇は神々につらなる存在として描かれている。古事記にも日本書紀にも、「天孫降臨」の物語が記されている。

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