学校で教えない「日本神話」現代にも影響力凄い訳 架空の物語だが、国のあり方を問題にしている
アマテラスなどに命じられて高天原から降臨するニニギは、オオヤマツミノカミ(大山祇神)の娘であるコノハナサクヤヒメ(木花開耶姫)と結婚し、何人かの子どもをもうける。
古事記と日本書紀ではどういった子どもが生まれたかが異なるが、古事記では、第3子ホノオリノミコト(火折尊)がワタツミノカミ(海神)の娘であるトヨタマヒメ(豊玉姫)と結ばれ、ヒコナギサタケウガヤフキアワセズノミコト(彦波瀲武鸕鶿草葺不合尊)を産んだとされる。
さらに、ウガヤフキアワセズはやはりワタツミの娘であるタマヨリヒメ(玉依姫)と結ばれ、その間に産まれたのが初代の天皇、神武天皇ということになる。
もちろん、神話は架空の物語であり、神々だけではなく、神武天皇も実在したとは考えられない。なにしろ、その祖母にあたるトヨタマヒメはヤヒロワニの姿で出産したとされる。ヤヒロワニが何かは議論があるが、サメやワニ、ウミヘビのたぐいと考えられる。
現代の常識からすればありえないことだが…
そもそも代々の天皇をさかのぼると神々に行き着くということが、現代の常識からすればありえないことである。しかも、ニニギの父であるアメノオシホミミノミコト(天忍穂耳尊)は、アマテラスとスサノオが誓約をしたときに生まれたものである。
その際にスサノオはアマテラスから八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)という珠を受け取って、それを噛み砕く。その際に噴き出した息の霧からアメノオシホミミなどが生まれたというのだ。生まれ方は超自然的である。
そんなことはとうてい事実とは考えられないわけだが、古代の天皇が日本の支配者となり、現行の日本国憲法で「日本国の象徴であり日本国民統合の象徴」とされているのも、究極の根拠は、神話に求めるしかない。
憲法では、天皇が国の象徴であるのは、「主権の存する日本国民の総意に基く」とはされていても、総意がどのようにして形成されたのか、具体的な経緯があるわけではない。その点では、記紀神話は現代の日本社会にまで強い影響力を発揮していることになる。
神話は国の成り立ちと深くかかわっている。そこにこそ神話の特徴があり、その点で、おとぎ話や伝説の類とは異なる。古事記と日本書紀を見ていく際に、そこが決定的に重要なのである。
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