「愛情不足のまま成長した人」過去を語る時の特徴 親との記憶を振り返る際に見られる3つの傾向
たとえ親が、安定型愛着を身につけられるような幼少期を与えてくれなくても、自分の体験を理解して、障害を乗り越えたということだ。その理解のプロセスは、自分の心を見つめ直し、人に話し、人とつながることで実現するのだ。
しかし、安定型愛着を獲得することができない人は、わかりやすく明快な身の上話をするのに困難を覚える。
具体的なエピソードをあげられない
その人の話はたいていちぐはぐで、人間関係や感情や過去の重要さを「拒絶」していることが多い。そういう人はどれほど弁が立っても、家族や幼少期の経験を振り返る段になると、自分の子ども時代を理解するための「筋の通った物語」をうまく話せないことに気づく。
幼いころの家庭生活について聞かれると、具体的な思い出、特に感情面や社交面の詳しい経験を思い出したがらなかったり、思い出せなかったりする。
「拒絶型」パターンの特徴
たとえば、母親のことを「とても愛情深い人でした」と言い張るのに、それを裏づける具体的なエピソードは何も挙げられない。彼らの幼少時代の物語はさびしげで、感情面と社交面の豊かさが不足した環境で成長したことをうかがわせるが、本人は「だけど、それでかまわない。大げさなドラマは嫌いだから」と言い張る。
自伝的記憶や過去の考察に近づこうとしないのは、神経系の適応とも関係があるのかもしれない。右脳の自伝的記憶と体からの信号の感覚がうまく発達しなかったせいで、「拒絶」が起こるのだ。「拒絶型」パターンと言われている。
「とらわれ型」パターンの特徴
また一方で、過去の細かい部分に注意を向けすぎて、すっかり迷子になってしまう人もいる。そういう人は、過去のできごとと、大人になってからの現在のできごとが混在した、まぎらわしい物語をする。
これは、「とらわれ型」と呼ばれるタイプで、物語が人間関係や感情や過去のできごとにとらわれたものになるからだ。