駅伝界の王者ナイキを抜いた、あのブランド

箱根駅伝の裏にあった、もうひとつの"戦い"

その理由はなぜなのか。ミズノは他メーカーと比べて、「販売促進」に力を入れていることが大きいようだ。金銭面でのサポートは外資系ブランドと比べて少ないかもしれないが、高校時代から物品提供をするなど、長い年月をかけて、選手たちと信頼関係を築いてきた。アシックスもミズノほどではないが、戦略的には似ている。

3人の「山の神」、シューズのメーカーは?

箱根駅伝に出場するくらいのレベルでも、各メーカーと「契約」をしている選手が多く、足型を計測して、自分好みの「別注シューズ」を提供されている選手も少なくない。

佐藤悠基(日清食品グループ)や大迫傑(日清食品グループ)は高校時代にミズノから物品提供を受けてきた。佐藤はサングラスとウエアに関してはオークリーと契約しているが、現在もミズノの別注シューズを履き続けている。反対に大迫は早稲田大3年時にナイキと契約。現在は宣材にも登場するなど、ナイキランニング部門の「顔」としての役割も担っている。

選手のシューズに注目すると、「山の神」と呼ばれた3人は別ブランドのシューズで区間記録を樹立している。順天堂大・今井正人(トヨタ自動車九州)は当時アシックス(今はアディダス)で、東洋大・柏原竜二(富士通)はミズノを履いていた。青学大・神野大地はアディダスのシューズで駆け上がり、3代目「山の神」となった。ブランドで箱根を見ても面白いだろう。

今年の箱根を制した青学大は2012年からアディダスと契約をしていることもあり、アディダスのシューズを履いている選手が多い。他メーカーから物品提供を受けていない主力選手は、足型計測はもちろん、「シューズ作りの名工」と呼ばれる三村仁司氏から別注シューズを製作してもらっている。神野が履いているシューズも別注で、市販されているモデルではない。

話が少し横道にそれるが、東京マラソンはアシックスがオフィシャルパートナーを務めている。スポーツアパレル(ランニングパートナー)は1社のみ。そのため、ほかのメーカーは「東京マラソン」を使用した営業活動はできない縛りがある。ホノルルマラソンはアディダスとの契約が終わり、昨年度からアンダーアーマーがオフィシャルランニングパートナーに就いた。ランニング業界の覇権争いは、今、戦国時代だ。

ちなみに箱根駅伝はミズノが協賛しているが、ミズノウエアでの総合優勝は2004年の駒澤大(当時はミズノを着ていた)と10年以上も遠ざかっている。強いチームが着ているブランドは、当然、カッコよく見える。箱根で圧勝したアディダスが、2015年度での売り上げをどこまで伸ばすか。個人的には気になるところだ。

【お知らせ】
本コラムの筆者である酒井政人の著作『箱根駅伝 襷をつなぐドラマ』(角川ONEテーマ21)が好評発売中です。
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