クラウドファンディングは地方の鉄道を救うか ファンだけでなく鉄道事業者自ら実施する例も

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鉄道にまつわるクラウドファンディングも注目を浴びている。そのいくつかを紹介したい。

クラウドファンディング企画では鉄道ファンが発起人として計画するものが多いが、その中でも注目を浴びたのが、ことでん貸切乗車団CFプロジェクトチームが2018年に実施した「もう一度、"初代1000形"が見たい。京急の代名詞を当時のカラーへ」である。現在も高松琴平電気鉄道(以下:ことでん)で活躍する元京浜急行電鉄(以下:京急)の名車1000形を、京急時代の赤塗装に戻すというものだ。

琴電1300形はもともと京急1000形(筆者撮影)
京急1000形(筆者撮影)

この企画にあたっては、京急・ことでんから「広告主の権利を買い取る形であれば、初代1000形の全面ラッピングをしても良い。」との許可をもらい、その費用としての1500万円をクラウドファンディングで集めるというものだった。

プロジェクトの開始は2018年5月に始まり、2018年9月よりクラウドファンディングがスタート。その年の12月に成立。770人の支援者で総額1605万1000円が集まった。

目標金額を大きく上回り、企画の人気ぶりが伺えた。成立後、2019年にラッピングを開始、3月から夢の「赤い京急塗装」の姿で1000形が蘇った。支援者には支援額に応じたリターン(返礼品など)が送られたが、高額支援者には車両基地内でのお披露目会なども行われた。

鉄道神社を建立

2020年12月に目標金額380万円、(支援総額461万8000円)で成立した「名車キハ222の塗装と鉄道神社化プロジェクトで延伸応援したい」もあった。これは、廃車体となったキハ222車両に修繕・再塗装などを行い「鉄道神社」を建立するというものだ。

鉄道神社の鳥居の奥に再塗装されたキハ222が見える(筆者撮影)

同車両が走行していた「ひたちなか海浜鉄道・湊線」では現在、阿字ヶ浦駅から国営ひたちなか海浜公園西口付近までの延伸計画が進められており、それを応援する形で、鉄道神社の観光資源化を狙ったのである。この企画はまさに、鉄道と地域の活性化を目的としたものであり、地元から愛される鉄道だからこそ実現できたといえるだろう。

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