日本初、鉄道車両更新ファンドの「投資妙味」

しなの鉄道が新車導入に活用、狙いはどこに

しなの鉄道の新型車両SR1系。赤い一般車両(左)と青いライナー用車両(写真:しなの鉄道)

長野県の第三セクター鉄道会社、しなの鉄道がユニークな手法を用いて新型車両を導入しようとしている。

ファンドを組成して法人や個人から資金調達を行い、それを車両購入資金の一部に充てようというのだ。「第三セクター鉄道会社における新型車両設備投資へのファンド活用は日本初」と、しなの鉄道はプレスリリースでうたっている。いったいどのようなスキームなのだろうか。

コロナで導入車両数を抑制

しなの鉄道は北陸新幹線の開業に伴い、JR東日本が経営分離した信越本線・軽井沢―篠ノ井間、長野―妙高高原間という2つの路線を運営する。現在の主力車両は、JR東日本から引き継いだ115系。「車両のほとんどが1978年に製造された」(しなの鉄道)。製造から40年以上が経過し老朽化が進む。最新の車両は古い車両よりも保守費用が安価という点も考慮して、同社は新型車両「SR1系」52両の導入を決断した。

導入するのは信越本線、白新線、羽越本線などで活躍するJR東日本のE129系と同タイプの車両だ。E129系を製造したJR東日本の子会社・総合車両製作所がSR1系を製造する。

SR1系は2両で1編成。まず3編成を利用者から要望の多かった通勤ライナー用(土日は観光車両用)に仕様変更を施して導入、残る23編成を一般型として導入することにした。総事業費は110億円で、しなの鉄道と国が3分の1ずつ、県と沿線市町村が6分の1ずつ負担する。

もともとは2019年度から2026年度にかけて毎年6〜8両ずつ導入する計画で、ライナー用の車両は予定通り2020年3月に納車され同年7月にデビューした。しかし、新型コロナウイルス感染拡大による経営悪化により2021年度以降の車両購入計画を見直し、導入数を最大46両(23編成)に抑えることに。毎年の設備投資額を抑えるため導入期間も1年延ばして2027年度までとなった。事業費は110億円から95億円に減る見込みだ。

次ページ新車導入費用の一部をファンドで調達
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