八方ふさがり「由利高原鉄道」資金集め大作戦

寄付金殺到の立役者は「こけし駅長」だった

木のおもちゃ美術館開館に合わせて登場した「鳥海おもちゃ列車『なかよしこよし』」の車内。運行時間が公開されているため利用しやすい(筆者撮影)

秋田県南部を走る由利高原鉄道は、JR羽越本線の羽後本荘駅から分岐して矢島駅へと至る、旧国鉄の矢島線を引き継いだ全長23kmの第三セクター鉄道だ。今年の10月21日で全線開通から80周年を迎える。

ローカル鉄道のご多分に漏れず、利用者減少に歯止めがかからない状況が続いているが、秋田県と由利本荘市の支援を受けつつ、2011年に公募社長として就任した春田啓郎氏のもと、経営努力を続けている。

沿線に美術館開館、でもどうする?

今年7月1日、同鉄道の鮎川駅近くにある旧鮎川小学校が「鳥海山 木のおもちゃ美術館」としてグランドオープンした。森林資源に恵まれた由利本荘市が、木の文化への理解を深める「木育」の場として国登録有形文化財の木造校舎を活用し、「東京おもちゃ美術館」の監修のもと設立した施設だ。

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同鉄道にとって、沿線への新たな施設の誕生は利用者増加へのチャンスだ。だが、いかんせん行政からの支援を受けている立場だけに、思い切った投資をすることは難しい。また、鮎川駅から同館までは直線距離で700m程度ながら、川に架かる橋がないため迂回せざるをえず、約2kmもの道のりになる。「おもちゃ美術館」の名の通り、対象は主に小学生以下の子どものため、この距離はいささか遠い。

美術館の入口近くに踏切があるため、春田社長はこの踏切付近にホームを造ることも考えた。しかし、勾配区間であることを理由に、運輸局の許可が下りなかったという。

この八方塞がりにみえる状況を、由利高原鉄道は美術館オープンの7月1日時点で見事に打破していた。どのようにしたのか、順に見ていこう。

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