初期費用は100円、北海道に吹いた「駅メモ!」旋風 熱量高い鉄道ファンが旧美唄鉄道に押しかけた

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勢揃いした萌えキャラ「でんこ」たち。後列左から2番目が「美唄イムラ」(© 2014 駅メモ!プロジェクト)

北海道美唄(びばい)市は札幌駅から特急カムイ号で旭川方面に向かって35分ほどの場所に位置する。かつて国内屈指の産炭地として繁栄し、旧美唄鉄道の遺構など鉄道遺産も多い土地柄だ。

美唄市の地域おこし協力隊は鉄道コンテンツを活用した町おこし活動に注力し、ソーシャルゲーム「ステーションメモリーズ!(通称・駅メモ!)」の「でんこ」と呼ばれる萌えキャラ「美唄イムラ」を活用した取り組みを2021年秋から始めている。

鉄道ファンの熱量が企画につながった

2021年10月1日、美唄イムラの誕生日を祝うメッセージを書くことのできる記帳台が、美唄駅近くにある地域おこし協力隊事務所に設置された。記帳台にはファンがメッセージやイラストを自由に書きこむことができるスケッチブックが用意され、初日から多くのファンが訪れた。

企画を発案した美唄市地域おこし協力隊の淺川覚一朗氏がイベントの立ち上げ当時を振り返った。

「きっかけは旧美唄鉄道の企画展でした」――。

美唄鉄道は国鉄美唄駅から三菱美唄炭鉱の事業所が存在した常盤台駅までの10.6kmを結んでいた三菱鉱業運営の鉄道路線で、1972年に廃止された。美唄鉄道では5軸の動輪が特徴的な4110形タンク式蒸気機関車が末期まで活躍しファンの注目を集めていたこともあり、この機関車は今でも旧美唄鉄道の東明駅跡地に静態保存されている。

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2020年末から美唄市教育委員会が機関車の修復と保存のためのクラウドファンディングと企画展を実施したところ、集まった金額は400万円を超えた。「鉄道ファンの熱量とロイヤルティの高さに驚かされました」(淺川氏)。

その一方で、淺川氏は美唄イムラの誕生日が設定されている10月になるとSNS上で美唄市に関する言及が増えるとともに、駅メモのプレーヤーが実際に市内を訪問する傾向があることに気付いた。そこで、訴求力の高いコンテンツとして鉄道遺構を持つ美唄市が、地域をプロモーションする手段として駅メモが使えるのではないかと思い至った。

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