石炭不足の英SL鉄道、「人糞燃料」が救世主に? 炭鉱閉鎖や輸入困難で「バイオ石炭」注目高まる

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イギリスには数多くの保存鉄道がある。イングランド中部を走るチャーネット・ヴァレー鉄道の蒸気機関車(撮影:田中貞夫)
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6月初旬、イギリスではエリザベス女王の即位70周年「プラチナ・ジュビリー」を記念し、特別に4連休が組まれた。コロナ禍で大きな打撃を受けた旅行業界では、この連休で巻き返しを目指そうと特別なイベントを催すなどして、あの手この手で観光客の誘致を図った。

そんな中、イベントが本当に実施できるかとやきもきしながら計画を立てていた人々がいる。イギリス各地にある保存鉄道の運営者たちだ。150カ所以上あるとされる保存鉄道だが、その多くは蒸気機関車(SL)を保有し、週末や連休に合わせて走らせている。

ところが、SLを走らせるための石炭が枯渇寸前にあるとされ、無事にプラチナ・ジュビリーに合わせた記念列車の運行ができるか気が気でなかったという。

石炭不足を解決するため、イギリスでは本物の石炭の代わりになる燃料の開発が進む。そんな中、「人糞」を原料にしたバイオ石炭の実用化が実現に近づいている。

石炭不足、原因は炭鉱閉鎖と国際情勢

この石炭不足問題は、ウェールズ南部にあるフフォス・イ・フラン炭鉱が予想より早く1月に生産を停止したことから発生したものだ。イギリスでは石炭火力発電所などが温暖化対策で閉鎖されており、石炭の需要が大幅に減少。運営コストに見合わないこともあり前倒しで閉鎖となった。

石炭は産業革命以降、いわばイギリスの経済を支える貴重な資源だったが、これに見切りをつけた格好だ。同炭鉱は、SLの運転に適した石炭を供給していた英国最後の炭鉱であった。

石炭不足は同炭鉱の閉鎖だけが原因ではない。ウクライナ危機のあおりでロシア産石炭の供給が止まってしまった。そのため、「あと数日分しか石炭がない」と訴える保存鉄道も出てきた。

次ページ当面の解決策は「新たな輸入先探し」だが…
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