大賞を受賞したユーグレナの出雲社長は、表彰式のスピーチで、学生時代訪問したバングラデシュで見た子どもの栄養失調問題が起業動機であったことや、ミドリムシから国産技術で開発したジェット燃料で総理の政府専用機を飛ばしたいとの目標を語りつつ、「今回の受賞を受けて今後より一層、日本のベンチャー企業として日本のみならず世界において、バイオテクノロジーを通じた新しい価値の創出と社会貢献ができるよう研鑽を続けてまいります」と力強く宣言しました。
なお、今回の日本ベンチャー大賞以外にも、JAPAN Venture Awards(中小企業基盤整備機構)、大学発ベンチャー表彰(科学技術振興機構)など、趣向をこらしたベンチャー表彰制度が数多く実施されています。これらの賞についても引き続き素晴らしいベンチャーを発掘し、称えることを期待しています。
ベンチャーを称えて起業大国の実現を
内閣総理大臣が表彰する日本ベンチャー大賞の創設にあたっては、三木谷浩史 楽天会長兼社長・新経済連盟代表理事や、孫泰蔵MOVIDA Japan代表など日本ベンチャーの将来を想う方々からの強力な要請が政府・与党によせられました。そのひとりである本荘修二多摩大学大学院客員教授はブログで次のように語っています。
「高度成長期以降の日本では、起業や起業家が冷ややかにみられ、職業そして生き方の選択肢として、アントレプレナーシップが尊重されるどころか反対や抵抗、邪魔扱いされることが多かったのが実情だ。それは国としての力を高めることを阻害する一因となり、自立した生き方やチャレンジを損なう社会という、思わしくない結果となった。しかしまだ遅くない。ポテンシャルのある人材が豊富な日本で、チャレンジが尊ばれ起業家をリスペクトする気運が醸成されれば、可能性は大きくふくらむ。 (中略) 内閣総理大臣賞をベンチャーにという姿勢とそのメッセージの発信は、これまでない重要な出来事だ」
社会をあげて、新しく成長する企業を賞賛し、応援する。出る杭を打つのでなく伸ばす。起業家、既存企業を含めた、多くのプレーヤーの切磋琢磨や支援により、日本らしいベンチャーエコシステムが形成されることが期待されます。
日本ベンチャー大賞で、ベンチャー・大企業等連携賞(経済産業大臣賞)を受賞した大和ハウス工業の樋口会長が、サイバーダイン社との連携理由について、「山海社長に何のためにこの事業をやるのか聞いたところ『多くの人や社会に役立つため』と答えられた。それを聞いて当社創業者の石橋社長の言葉と同じだと思い、その場で出資を決めた」とコメントしています。
志の高い先輩企業・経営者が、志の高い後輩企業・経営者を応援する。経済の好循環がもうすでに回り始めています。
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