「マザウェイズ」絶好調に見えたのに破産した理由 女児服の人気ブランドはどこで目算が狂ったのか
子供服チェーンの「マザウェイズ」を覚えていますか。女の子向けのかわいらしくて手ごろな値段の商品を展開し、2010年代後半、全国に100店近くを展開した人気ブランドです。子育て世代ならば、ご記憶の方も多いのではないでしょうか。
しかし、運営主体のマザウェイズ・ジャパンは、2019年7月に破産しました。
「女児服のユニクロ」とも呼べるビジネスモデルで成功した人気ブランドが、なぜ破綻してしまったのか。どうすれば破綻しないですんだのか。創業社長に取材して考えました。
倒産を30年取材してきた日経トップリーダー編集部が、帝国データバンクと東京商工リサーチの協力を得てまとめた『なぜ倒産 令和・粉飾編 ― 破綻18社に学ぶ失敗の法則』からの抜粋。取材は2019年夏頃、事実関係は基本的に2019年9月1日現在です。取材にご協力いただいた創業社長は仮名にしてお伝えすること、ご了承ください。
創業社長、無念を語る
「考えられる手立ては尽くした。何とか延命策を施したとしても、この先1、2年が限界だと判断し、経営を断念した」
このように語るのは、首都圏を中心にベビー・子供服のSPA(製造小売り)を展開していたマザウェイズ・ジャパン(大阪市、以下マザウェイズ)の松本亮社長(仮名)だ。同社は2019年7月16日、大阪地方裁判所から破産手続きの開始決定を受けた。
破産申立書によると負債総額は 59億6000万円。関連会社の根来(ねごろ、大阪市)とネイバーズ(同)も連鎖して倒産し、3社の負債総額は約77億円に上った。
マザウェイズと長年取引があった会社の社長は、「(倒産は)青天のへきれきだった」 と話す。「取引額はここ数年で増え続け、支払いの滞りもなかった。少子化時代でも成長を続ける優秀な会社と認識しており、下請けの我々にもありがたい存在だった」。
2019年1月期の売上高は81億円に上り、店舗数は98店、従業員は854人に達していた。破綻4カ月前の3月も大阪、群馬などに3店をオープンしたばかりだった。
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