「マザウェイズ」絶好調に見えたのに破産した理由 女児服の人気ブランドはどこで目算が狂ったのか

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出店の拡大と大量生産によるさらなるスケールメリットを得たことで、松本社長は2011年に「ブランド元年」を宣言。「インターネット通販やスマートフォン用アプリ、 アウトレットにもチャネルを拡大し、どんなお客様でも取り逃さないようにした」(松本社長)。

その宣言から2年後となる2013年1月期、マザウェイズの売上高は47億円から73億円に伸びた。商品が定価で売れる割合を示す指標「プロパー消化率」は、90%を記録。アパレル企業の多くの 50~60%を上回った。豊富な品ぞろえでお客1人の購買点数も5、6点に倍増し、純利益は過去最高の 2億円を確保した。

しかし、この拡大路線の経営は、結果的に薄利多売による利益率の低下と常に大量在庫を抱える状況を招いた。暗雲が垂れ込めたのは、2013年下期から始まった円安。

日本円の対ドル相場はその後の1年で20円以上も下落。中国の人件費上昇も加わり、 3割未満だった製造原価が5割を超えた。

「円安も人件費の上昇も予測せず、3年先まで1ドル90円前後の想定で発注していたため、取り返しがつかなくなった」(松本社長)。

値上げと顧客ターゲットの拡大でも好転せず

2014年、松本社長は利益率の回復を目指して2つの方針を打ち出した。

1つは、商品価格を平均10~15%値上げしたこと。

2つ目は、顧客ターゲットを拡大したことだ。もともとマザウェイズが対象にしていた「身長130センチ」までのサイズを、「身長160センチ」までに拡大した。

「小学4年生までだったこれまでのユーザーを、小学6年生まで広げた。母親でも着られる服も新たに展開して、スケールメリット拡大を狙った」(松本社長)。

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