サクラ/eKクロスEVは軽BEV普及の起爆力になるか 新車購入者「1万人調査」に見る軽BEVの可能性

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回答者の約7割が「200km以上」の航続距離を求めている。瞬間的な値ではなく2019年、2020年、2021年と続いている調査だが、各年とも結果は同じだ。この結果を見ると、今回のサクラ/eKクロスEVの航続距離は短いように感じる。

一方で、「片道50~100km未満の移動」「片道100km以上の移動」について、週1回以上の頻度で移動する人の割合は下記の通り、1割にも満たない。直接的な比較はできないが、この結果は前述の日産発表のデータとも概ね一致すると言えよう。

求める航続距離を生活者に問えば、180kmという答えはなかなか出てこない。ただし、その車の役割を新たに定義し、2台目以降の需要(併有車としての需要)に割り切っていけば、今回発表された航続距離は特定の層にしっかりマッチするだろう。

これまで見てきた「車両本体価格」「ボディタイプ」「航続距離」の調査データから、サクラ/eKクロスEVは狙いとするターゲットに対して“十分に売れるBEV”となりそうである。一方で「軽自動車BEVは普及するのか」の問いを考えていくうえでは、いくつか超えなければならない壁がある。

自宅充電設備構築のワンストップ化

新車は、ディーラーで購入するのが一般的である。しかし、車好き以外の人の中には、ディーラーでのコミュニケーションがわずらわしいと感じる人も多い。

SNSでは、声の大きい人(車好きな人)が発信しているので目に入ってくるが、そうでない人はディーラーでの商談状況や、購入車種、納車日などを逐一報告するようなことはあまりしない。新車購入だけでもコミュニケーションのハードルがあるのに、そこに加えて充電設備の話までとなると、さらに感じる負担は大きくなるだろう。

充電設備は特にマンションなど集合住宅に住む人にとって大きなハードルとなる(写真:三菱自動車)

特に軽自動車を購入する層には、これまでも軽自動車を乗り継いできている人が多い。軽自動車ユーザーは、登録車ユーザーと比べると車に対する感度は低く、こだわりが少ない傾向がある。そういった人たちが、家に充電設備を設置する必要のある(マンションなど既に設置されている場合もある)BEVをわざわざ買うだろうか。

そう考えると、現状のBEVはまだまだ車好きや“車にこだわりのある人“が買う車であることは否定できない。大衆化に向けては、充電設備の構築へのハードルを下げる必要がある。

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