日経平均株価の上昇を阻む「本当の敵」とは何か? 欧米のインフレ懸念は続くがそれだけではない
さらに9日には、IMF(国際通貨基金)が「7月半ばに公表予定の今年の世界経済見通しについて、下方修正することを想定している」と広報担当者のゲリー・ライス氏が明らかにした。もし、IMFが7月に引き下げれば、今年3回目の下方修正となる。すでに4月時点で今年の世界経済見通しは下方修正されて3.6%となっているので、どこまで下げるかには注目せざるをえない。
スタグフレーション懸念については、世界銀行は「リスクはかなり高い」としているのに対し、OECDは「限定的」と、投資家を迷わすような見解の相違はある。だが、このように世界経済の主要機関がそろって景気の下方修正を出したことから、先週、株式市場はもともと厳しい環境にあった。
したがって、NYダウが3日の3万2899.70ドルに対し、10日に3万1392.79ドルと1506.91ドル(4.58%)安、ナスダックも同1万2012.73ポイントに対し同1万1340.02ポイントと672.71ポイント(5.60%)安となったことは、当然かもしれない。
日経平均、待ち構える2万8000円から上の「売り物」
一方、日経平均株価は、3日の2万7761.57円が10日2万7824.29円と、この2週間を通して見ると62.72円高だった。シカゴ先物の終値2万7355円で計算してみても406円(1.47%)安と、NYダウやナスダックに対して優位性は保っているといえる。
ただ、日経平均の上値が重いのも確かだ。上値では売りが出ているが、そのいちばんの理由はやはり需給だろう。
2020年のコロナショック後初の日経平均2万8000円乗せ(2021年1月8日)から、2022年1月18日の2万8257円まで、立ち会い日数251日間の東証1部売買高合計は3002億株ほどにのぼる。
一方、本年1月19日の2万8000円割れから先週末6月10日までの立ち会い日数95日間のプライム市場売買高(3月までは東証1部)をそのまま加える)売買高は1226億株にすぎず、「玉(ぎょく)整理」はまだ終わっていない。
しかし、それでも、日本株が今後も上昇するとの筆者予想は不変だ。
今週は13日の4~6月期法人企業景気予測調査(不透明な日本企業の業績が見通せる)、15日の中国5月工業生産・小売売上高などの各種指標、そして上記のFOMC結果発表、17日の日本銀行金融政策決定会合結果発表・黒田東彦日銀総裁会見等などがある。これらの材料を織り込みながら、時間はかかるが、売り物を飲み込んでいく年後半の相場展開の筆者予想は変わっていない。
(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)
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