「トップガン」が著作権侵害で訴えられた納得理由 根拠に基づいた著作権保持者の事前通知を無視
ようやく動き出したと思うと、スコットが亡くなるという悲劇が起こり、再びストップとなる。そんな中でも、クルーズをはじめとする製作陣は正しいストーリーを探し続け、グースの息子を出してくるというアイデアをジョセフ・コシンスキーが思いつくと、急速に実現に向けて動き出した。撮影が始まったのは、2018年後半だ。
だが、その少し前の2018年1月23日、ヨナイの妻と息子は、2020年1月24日をもって使用権を停止するとの手紙をパラマウントに出していた。アメリカの著作権法では、1977年以後の著作の場合、35年経てば、使用の権利を著作権保持者が取り戻せることになっている。ヨナイの遺族は、2年後にその権利を行使しますということをこの段階でパラマウントに伝えていたのだ。
「トップガン マーヴェリック」は19年公開予定だった
それを受けてパラマウントがすぐにライセンス更新の話し合いをしていれば、こんなに面倒なことにはならなかっただろう。そうしなかったのは、この時パラマウントは『トップガン』続編を2019年7月12日に公開するつもりでいたからだ。
権利が失効する段階ですでに完成していれば、問題にはならない。だが、空中のショットをより良くするため、ポストプロダクションに予定より時間をかけることになり、公開は2020年6月24日に変更される。その新たな公開日を待たずにパンデミックが世界を襲い、公開予定日はさらに何度か延期を重ねることになった。
その間、遺族の要求に対する動きはないまま。ついに公開が目の前となった先月13日、しびれを切らした彼らは、公開停止を求める文書をパラマウントに送った。だが、それはもうサンディエゴでのプレミアも終わり、クルーズらがカンヌ映画祭に向かおうとしていた頃。今さら公開中止はありえないと、パラマウントはそのまま世界プロモーションツアーを続けた。そして今回の訴訟に至ったのである。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら