「タクシー配車アプリ」は市民権を得られるか Uber、LINEに続き、日本の業界も動く

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タクシー会社がこうした取り組みに力を入れているのは、2009年に米国で誕生した配車アプリ「Uber(ウーバー)」の存在が大きい。同アプリは、利用者が行き先などを入力するだけで、黒塗りの車を配車できる利便性の高さが特徴だ。サービスは今や世界54カ国、250都市にまで広がり、各国で類似のサービスも続々と誕生している。

東京でUberは2013年11月から本格的にサービスを開始。ビジネスマンや女性向けのほか、自国の言語でアプリを使えるために、出張などで訪れた外国人を中心に利用が広がっている。タクシー大手では、日本交通がこれに先駆けて2011年に独自のアプリを開発・配信を始めたほか、最近ではLINEと組んでLINEの専用アプリ経由でも配車できるようにするなど、参入企業も増え始めている。

 東京でどれだけ利用されるか

が、とりわけ東京では、電車やバスなど、公共交通機関が充実している。流しのタクシーも多い。そのため配車アプリの需要を「微妙」と見る向きがある。

もっとも、Uberの場合、「パリやロンドンで始めたときより2~3倍の需要があった」(高橋正巳社長)と、潜在的需要は低くない。実際、通勤ラッシュ時や雨天の日、なかなかタクシーがつかまらない、という経験をした人も少なくないはず。またハイヤー・タクシー協会によると、1年間の実績で、「住宅街などタクシーが常時いないところでの利用が想像以上に多い」(協会の根本氏)。前述の通り、外国人観光客による利用も、今後は増えると予想されている。

一方、普及には課題も残る。Uberの利用が海外で爆発的に伸びた背景には、使い勝手の良さに加え、利用料金が既存のタクシーに比べて比較的安かったことがある(Uberでは需要に応じて料金が変わる)。これゆえ、各国では既存のタクシー会社や規制当局がUberに営業停止を求める動きが広がっているが、東京では規制に従って画一料金でサービスが提供されている。つまり価格面での差別化が難しい。また、通勤時や雨天の日など、特別の時間を除くと、やはりタクシーはつかまりやすいという印象がある。

こうした中、たとえばUberでは、黒塗りの車を配車できるだけでなく、あらかじめクレジットカードを登録しておけば、降車時に支払いをする必要がなかったり、利用者が運転手を評価できたりすることで、既存のタクシーとの差別化を図っている。「スマホdeタッくん」が今後一段の浸透を図るには、価格や利便性以外にも、従来のタクシー以上の付加価値を提供する必要があるだろう。

倉沢 美左 東洋経済 記者

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くらさわ みさ / Misa Kurasawa

米ニューヨーク大学ジャーナリズム学部/経済学部卒。東洋経済新報社ニューヨーク支局を経て、日本経済新聞社米州総局(ニューヨーク)の記者としてハイテク企業を中心に取材。米国に11年滞在後、2006年に東洋経済新報社入社。放送、電力業界などを担当する傍ら、米国のハイテク企業や経営者の取材も趣味的に続けている。2015年4月から東洋経済オンライン編集部に所属、2018年10月から副編集長。 中南米(とりわけブラジル)が好きで、「南米特集」を夢見ているが自分が現役中は難しい気がしている。歌も好き。

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