日米の株価がもう一段上昇しそうな「2つの理由」 ただし2023年は景気が反落する懸念がある

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つまり、今年3月までの世界的な株価調整の中で、グローバルに運用する投資家たちは、日本株などは大いに叩き売って構わないが、さすがに世界の株式市場の中核ともいえるアメリカ株については「まだある程度は保有しておこう」と考えたのだろう。そのためかえって5月までの局面では、日本株についてはさらに売り込むほどは保有しておらず、投資家の投げ売りはアメリカ株に向けてむしろかさんだ、ということだったのではないか。

アメリカの市場はまだ警戒感が支配

現時点で「今年の年末辺りにかけて、主要国の株価が上昇基調をたどる」との筆者の見通しは変わらない。前述のように、アメリカ株には予想PERで見た割高さは残るが大きなものではなく、日本株は割安だ。日米の企業収益は昨年のコロナ禍からのリバウンドに比べて増益率は鈍化しそうだが、アナリスト予想の平均値(ファクトセット調べ)では両国とも2022年は2桁増益が見込まれている。

加えて、現時点での市場心理は悲観に振れすぎている。とくにアメリカ市場では、日々「インフレ懸念」「金利上昇懸念」「景気後退懸念」といった文言が、当方が懸念するほどあふれかえっている。市場心理の楽観あるいは悲観度合いを数値化しようとの試みはいくつかあり、例えばアメリカのテレビ局CNNが、サイトに “Fear and Greed Index” (恐怖と強欲指数)を掲載している。

これは7つの市場指標を合成しているもので、ゼロから100までの数値を示す。0~25が「Extreme Fear」(極度の恐怖)、25~45が「Fear」(恐怖)、45~55が「Neutral」(中立)、55~75が「Greed」(強欲)、75~100が「Extreme Greed」(極度の強欲)とされている。

この数値は、5月27日時点では21で極度の悲観が広がっていたが、6月3日時点では株価がやや安定したこともあって、27に数値が上昇した。しかしまだFearの範囲内の下のほうに位置しており、市場に警戒感が強いことが示されている。

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